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乙女ゲームに転生した:3
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あれから1時間後、俺はなんとか自分を鎮めて……というよりも、母親が帰ってきた為思考を切り替えることができた。
ここで嬉しい誤算を1つ。
前世を思い出しても、俺は俺だった。
変に大人びることも無く、両親の前でも普段通りの大雅だった。
多少思考や性格が引っ張られているようだが、前世の性格の悪さが今は10才だからただの悪ガキにしか感じられない。そこに違和感はない。
その日の夜、俺は今後の方針を考えるためにノートを広げて机に向かった。
書き出したのはストラブの大まかなストーリー、攻略対象の詳細だ。
最終目標は俺がヒロインと結婚しないこと。
そのためには、ストラブの俺と全く違うことをすれば良いのではと安易に考える。
ストラブの大雅は中学校入学から亮太とずっとバスケ部に所属している。
中学はスタメンで活躍するが、低身長の為高校生になった途端伸び悩みスタメンから外されるのだ。
その結果身長が低いことをコンプレックスに感じ、同じバスケ部所属で高身長の亮太に対しても劣等感を感じるようになる。
結果ストラブのガラの悪い大雅ができるのだ。
とりあえず、ガラの悪い部分は変更可能だろう。前世はホストだ。優男を演じるなんて朝飯前だ。
そして、今の俺からしたら将来確定低身長バンザイだ。コンプレックスに感じることは無い。
この時点で既にストラブの大雅ではなくなっている気がする。よし!
あとは根本的にストーリーから外れるには、バスケ部に入らなければ良い。
ストラブでは、ヒロインが「コンプレックスを他の部分で補えばいいのよ!」と言って励まし、それを聞いた大雅が少しずつ成長していた。具体的には、走るスピードと体力、ドリブルのコントロールにより攻めるよりも繋ぐことをメインにバスケをするようになる。
アニメPVでの大雅は小さな身体を活かして果敢にボールを奪取していた。
最終局面ではボールを奪取した大雅が亮太にボールを繋ぎゴール。県大会に優勝していた。
俺自身、特別バスケがしたいとかも無い。
バスケ部は亮太1人で入ってもらって、俺は優雅に帰宅部でいい。
まとめると、好青年を演じれば良いだけということになる。
特別やることなんてない。俺はホッと安堵の息を吐く。
「今世は……幸せになりてぇな……。」
俺はベッドに横になり目を閉じた。
意識は直ぐに夢の中へ。
優しく微笑んだカナたんが俺を撫でる。
『可愛いな。』そう言って俺の頭にキスをする。
俺は嬉しくなってカナたんに抱きつく。それを受け止めて、カナたんは抱きしめ返してくれる。
嬉しくて幸せで……ずっとこうしていたと思った。だけど、これが夢だと俺はわかっている。
だって俺は男でヒロインじゃないから。
ヒロインにはなれないのだから。
翌日から俺は少しずつ、クラスの女子や大人達に好少年に見えるように演じ始めた。
例えば、女子には優しく紳士的に接し、先生の手伝いで教材を運んだり、お礼や挨拶などの当たり前のことを常に行った。
男子とは今まで通り少しヤンチャをするが、今までが10才の口が悪いヤンチャなガキだったのだ。好感度が上がるのは早かった。
それを1ヶ月も続けていると、女子から告白されたりとモテるようになり、大人達からは「大雅くんよろしくね」とクラスのことや下級生のことを頼まれるようになった。
前世を思い出してから早3ヶ月。
今日も俺は好少年を演じている。もはやこちらが素に近くなってきている気がする。
子供の適応力というか、俺の適応力が凄い。
俺は亮太と一緒に学校から帰路に着いていた。
「最近タイガめっちゃモテてるよな……。」
亮太が少し頬を膨らませながら言う。眉間に皺を寄せているから、これは怒っているということだろう。
「リョウも変わんないくらいモテてるじゃんか。嫉妬かよ〜。」
俺は微笑ましくなって膨らんだ頬を人差し指で押すとふーっと亮太の口から空気が漏れた。
「そんなんじゃねぇよ……ただ、前より一緒に遊べる時間とかが減ったから……なんかイラつくんだよ。」
亮太は眉間に皺を寄せて俺を見つめた。
今はまだ少し俺の方が亮太より背が高くて、気持ち上目遣いになっている。遊んで貰えなくて拗ねている犬のようだ。
「リョウ……お前可愛いやつだなぁ!!」
俺は亮太の頭を俺の胸で抱きしめた。
「そっか、俺とそんなに一緒に居たかったのかぁ!よしよし!」
抱きしめながら、俺は亮太の頭をわしゃわしゃと撫で回す。何故か亮太は腕の中で硬直していたが気にしない。
しばらくして亮太が暴れだしたので、俺は亮太を解放した。
亮太は「もう二度とすんな!」って顔を真っ赤にして、走って帰ってしまった。
撫で方が痛かったのかもしれない。
俺は少し反省して帰宅した。
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