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宅急便!
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「宅急便でーす」
「はーい」
インターホンから聞こえてくる声に返事を返す。宅急便、なんか頼んだっけ。本とかかな。
なにも考えずに玄関のドアを開けてしまい、目に飛び込んできた相手を見た瞬間、思わず目を見開いてしまう。
「やっほー、田代くん」
にっこりと笑う彼は、
ひらひらと手を振っていて。
「........先輩?」
い、きてた
生きてた
先輩、生きてた
なんで目の前、に
あれ、宅急便は?
あれ、なんだ、どういうことだ。
次々と浮かぶ思考に。
「ほんとごめんね、連絡しようとしたらさー、スマホどっか行っちゃってて、次の日公園に落ちてんの見つけてさ!あった〜ってかかげた瞬間に、公園で泥団子作りしてた子のバケツにぽちゃん、よ。全く参ったよね〜」
あはは、と笑いながら話す先輩の
声は、あまり頭に入ってこなくて
「あ、の、俺」
「就活とかなんやらで忙しくてここなかなかこれなくて。ごめんな〜、今日バイトも休みでやっと来れたわ」
「えっと、あの」
「あとさ、ごめんね。きっと覚えてるよね」
畳み掛けるように
話す先輩に
俯いていた顔をあげてしまう。
なんだか先輩、いつもと違う。
キラキラした笑顔じゃなくて
作ったような取り繕ったような笑顔。
なにかを言おうとしてないか。
この嫌な予感はなんだろう。
表情が読めない先輩の顔を
思わずまじまじと見つめてしまう。
「忘れて、こないだの」
すっと視線が下へ向いた。
わ、すれて........?
「ごめん要件はそれだけなんだけど。なんか悪かったな。急に付き合ってってどういう状況!?って感じだよな。本当にごめんね。俺酔ってた!気にさせてたら悪いなと思って、謝りきたの。─────田代くん聞いてる?」
酔ってた
酔ってた
ごめん.........................
俺、
俺、、、
俺、、、、、、、!!!!!
「先輩のこと好きって気がついちゃったんですけどどうしたらいいですか!!!!!」
思わず心の声が溢れ出て、
あ、と口元をおさえる。
だ、だって、
いま、いまさら
酔ってたとか言われても
俺、気がついちゃったんだよ!
俺、もう後にはひけそうにないんだけども!?
「...........へ」
困ったように、にへと笑う先輩に。
今度は俺が畳み掛けるように足を踏み出す。
思わず1歩下がった先輩に、また1歩踏み出すと、また1歩下がった先輩はどんと玄関前の壁に背中をぶつけてしまう。
「え、いや、あは」
先輩はこんな状況でも、笑ってるんだ。
そんな風にぼんやりと彼を見つめてしまう。気まずそうに目を逸らす先輩の頬へと手を伸ばして、触れた瞬間、指先の冷たさに驚いたのかぎゅっと目を瞑った。
か、わいい。
親指と人差し指で頬をつまむようにつかみ、目線があうようにこちらへと顔を向けてみる。頬の柔らかさとあたたかさが指に伝わって、なんだか。
先輩目瞑っちゃって、かわいい。
恐る恐る目を開く先輩と目が合う。
ぱちぱちと驚いたように
瞬きを繰り返す先輩に。
俺が先輩にずっと伝えたかった
言葉を、─────
この初めて溢れた気持ちを
心臓が高鳴ってもはや痛い
「先輩、好きです。
────俺と付き合ってくれませんか?」
........お、俺!!!
い、言っちゃった言っちゃったよ!!!
佐藤!中辻!
俺ちゃんと気持ち伝えられたよ!!!!!
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