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とあるハンバーガー屋さんでの話。
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「今日駅前のハンバーガー食べに行かね?」
「あ、いや、今日パス。バイトあるし」
「そう、おけ」
友達にあっさりと
振られてしまって、
トボトボ駅に向かう。
なんだよーさみしいー
ぼっちで食べるハンバーガーほど寂しいものはないぞ。むんむん。
綺麗なお姉さんのレジで。ポテトとハンバーガーとシェイクを頼み、トレイを受け取って2階の席へと向かう。
階段地味にきついのなんなの。
俺今日ついてないの?
「はあ」
窓から外が見えるカウンター席が一つ空いているのが見えて、鞄を足元に置き、席につく。
「お前ふざけんじゃねえぞ」
右に座っている人がぼそりと呟く声が聞こえて、思わず飲んでいたシェイクが喉の奥にひゅっと入り込み、咳き込んでしまう。び、びっくりした。俺?俺のことじゃないよね??
あ、危ない人かな、、、、、、
「俺は悪くない」
今度は左から声が聞こえてきて、
びくりと肩が揺れてしまう。
え、、、なに、、、
やばい人とやばい人に俺挟まれてる?
というかやばい席に着いちゃった?
だからここ一席空いてたとかそういうこと?
なんだよ〜
今日本当ついてないかも。
ポテトを一本手に取り、外をちらりと見てみる。あの雲、ふわふわしてる。(現実逃避をする男子高校生)
「俺言ったじゃん。帰れないかもって。飲み会だって」
「それは聞いたよ、でもさっくん、あいつんち行くのは違くない?」
「...」
「なに黙ってんの。ふざんけんじゃねえよ。心配すんじゃん。一本電話くれればどこにだって迎えに行くよ。なんでそれがさ、あいつんちに普通に泊まってんだよ。ふざけんじゃねえよ」
「だるいお前」
「だ、る、い?」
あの雲、あれだな。
一つしかないな。
あいつ横に流れてったらさ。
もう俺観察する雲ねえよ。
もっとゆっくり進めよ(俺は何してんの)
「だるいって言った?だるい?え、俺だるいかな。普通のこと言ってないかな。元恋人んちに泊まるのおかしくない?俺という相手がいながら?」
!?
「そういうとこきめえんだよ。なに。いつ俺とお前が恋人になったよ。」
ええ!?
恋人同士の痴話喧嘩に遭遇って驚いたら
まさかの恋人でもないの!?
「さっくんひどい!」
「.......あ?泣いてんのか」
「な、泣いてないっ」
「なんなんだよ。全く。」
えええ.......
泣かせたよこの人。
あとこの人たち。
俺が間に座ってんの気づいてるかな。(遠い目)
なんで二人とも窓見て話してんの。
なにしてんの。あんたたち。
「あー!悪かったって!!!別になにもしてないし、他にも2、3人友達もいたし。ただ始発まで飲み直してただけ。お前が想像するようなににかは起きてない」
「...っ...」
あーなんか鼻啜る音する。
この人ティッシュ持ってんのかな。
でも横向くわけにはいかないしな。
「...泣くな、よ」
「ずるい、なんで、あの胸なくて背高い女は、よく、て、俺はだ、だめなのっ...」
あー鼻水気になる。
ティッシュあげたいー。
「お前男じゃん」
「いいじゃんんんんん」
なんだか右のお兄さん可哀想に見えてきた。
おい左のお兄さん優しくしてやれよ!
「........お前後で俺んち来いよ」
「....へ」
「お前今日誕生日だろ」
!?
「さ、さっくん!覚えててくれたの!!!」
「そりゃお前が勝手に俺のスマホのカレンダーに登録したからだろ。三日前から通知が朝起きるたびに届いてんだよ」
「すき!」
右の人やばいやつだ。
左の人の方がまともなのかもしれない.....
「ケーキ買ってあ、るから食いに来い」
ケーキ!!!
やさし!!!
「すき!!!」
「お前声でかい。他の人───── 」
ちらりと左の人がこちらを向いて、
びくりと肩を揺らした。
あ、いま気がついたみたいな反応。
やばい。ど、どうしよう。
「........あ、もう食べ終わるので大丈夫ですよ」
なんかよくわかんねえフォローしちゃった!!!
どうしよう!!!!!
「...さっくんどうし───── ってわあ!!!」
右の人もこちらを見て、
驚いたように声をあげる。
.......あ、思った通り鼻垂れてる。
「君誰!!!!!」
「...ティッシュどうぞ。」
差し出すとおずおずとした様子で
受け取ってくれた。
はあ、すっきりした。
ずっと気になってたんだよ。
驚いたように固まっていた左の人が
プルプルと震えながら、肩を揺らす。
え、なになになに
「あはははっ、いや、だ、だめだ、っく..笑い止まんねえ、やばい、はははっ」
突然ひいひい言いながら
バシバシと机を叩いて笑い始める。
え、怖い怖い。
「っぷ、あはははは、!!!」
右の人もつられるように
笑い初めて、俺の顔はさらに引き攣っていく。
この人たち、怖い。
しばらくして落ち着いたのか。
笑いすぎて涙が出ている二人に
そっとティッシュを差し出す。
「あー腹いてえ、腹いて。君ごめんね、美味しいハンバーガーが台無しだったよね。あははは、いや、俺らに挟まれて、どんな顔で食ってた、の、とか想像したらまた笑いが」
「さっくん!本当にごめんね。思わず笑っちゃったけど、本当ごめんね。」
「あ、いいんです、別に。」
「でも話を聞いてたでしょ!」
「あ、はい」
「ねえ!最低だよね!さっくん」
「おい、しーくん。みっともないからやめろ」
しーくん。
この人たちなにかわいいあだ名で呼び合ってんの。
「......お付き合いされてないんですよね」
「してない」「してる」
左と右から違う言葉が
聞こえてくるけど。まあいいや。
「俺は、右のお兄さんの好きな気持ちを応援したい気持ちもあるし、左のお兄さんの友達を続けたい気持ちもなんとなくわかります」
「お兄さん達が、お互いが幸せになれる道、があればいいなって思ったけど、どうなんですかね。難しいですね」
にへと笑ってみせると
両脇の二人がまじまじを俺を見つめる。
「お前可愛いな」
「君いい子だね」
二人にくしゃくしゃと頭を撫でられ。やめてくださいと手を払う。なんだなんだ
「...ありがとうね。んじゃ、そろそろ行こうか」
鞄を手に取り、
腰をあげる右の人。
「おー、本当悪かったな」
トレイを手に取り、
左の人も立ち上がる。
「あ、君も一緒にケーキ食べる?」
へらと笑って見せる右の人。
俺がまたこの人たちに挟まれるところを想像して、ぶるっと身震いしてしまう。
「ご遠慮します」
ハンバーガーを一人寂しく
食べようとしたら
変な二人の間に座ってしまった
とある日の午後の話─────
さて、ケーキを食べて🍰
この二人はどんな道を選んだのか。
またそれは別な時に。
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