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俺の仕事は人を殺し、食べること。
基本、依頼を受け報酬(お金)をもらうのだが、俺の場合の報酬は法では裁かれない罪人、もしくは死刑が確定している人間をもらい、ご飯として食べる。
とはいっても、毎回ご飯を食べれるわけではない。食べるはずの人間が病気を患っていたり、獄中で勝手に死んだり、何らかの理由でご飯になることを拒絶するものだから、お預けにされるケースが多い。
依頼は他にもある。さっきの話は表の世界のお偉いさんからの依頼。こっちは裏の世界のお偉いさんからの依頼。
借金をして闇金から借りた人が返せなくなって自ら命を絶った人や、闇金から借りたけど返すことを放棄した人を殺し、ご飯としていただく。
また、遺体の処理に困ったお偉いさんが、ご飯としてくれたりもする。
まぁ、結構時間が経って美味しくない場合が多いけど。
誰かを殺そうと思って食べたことはない。いつも感謝をもって、『俺のご飯になってくれてありがとう』そう思って食べてる。
本当は死にたい。人間を喰らう化け物でいたくない。でも神がそれを許さない。
俺は普通には死ねない。刺されたって、首を絞められたって、溺れたって、毒を飲んだって、雷に打たれたって死ぬことはできない。
ただ唯一、死ねる方法は……
『ある男の肉を食べること』
普通の人間の肉を食べても死ぬことはない。しかし、その男の肉を食べると全身の機能を停止させ死に至るという。
その男がどこにいるのかは知らない。ただ、名前だけはわかる。
『ヴィーザル』
それが俺を殺してくれる唯一の存在。
俺はその男を見つけなければいけない。そして殺されなくては……
醜い獣となる前に。
依頼人から呼び出されて待ち合わせた場所は廃工場。呼び出されるときは、人気のない場所が多い。だって人を殺すのだから。
関係のない人を食べたら可愛そうでしょ?
俺はこの仕事に就いてからは、依頼された人以外は食べてない。
まぁ、その前までは生きる価値のない人を選んで食べたけど。
「お待たせ、フェンリル」
「リーク」
リーク、俺の雇い主。
腹が減り人を食べてる所を見つかった。事情を話すと『ご飯をあげるからお仕事してくれないか?』と俺を保護してくれたのだ。
この人は表の世界のお偉いさん、裁判官だ。とはいっても、まともな裁判官なら死刑囚をこんな俺に喰わせないだろうけど。
「例のもの、トラックに積んである」
「ありがと、じゃあさっそくいただくね」
リークの乗ってきたトラックの荷台の扉を開けると、気絶した男が横たわっていた。ふっくらとしたお腹。皮膚の状態や顔のシワ加減から見て40代後半くらいだろう。
「もうちょっと若いほうが美味しいんだけどなぁ」
年齢が増すほど肉が美味しくなくなる。20代から30代くらいが新鮮で美味しい。でもそんな人間はなかなか手に入らない。
「文句を言うな。人喰いが」
「さーせんねー。んじゃ」
ご飯を食べるように手を合わせる。
そして……
「いただきます」
その男の腹に喰いついた。
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