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「まぁ、確かにな」
「そーいえば、名前聞いてなかったね。君、何くん?」
「ヴィ……ウィル、だけど」
「ウィルね。俺はフェンリル、よろしく」
「よろしくって……一週間後、俺を喰うんだろ。そんな奴によろしくなんて言えるか」
「確かに、そーだな」
彼にとって俺は自分を殺そうとする相手。父親がお偉いさんから、借金しなければこんなことにはならなかっただろうに……
「そーいえば、ウィルのお父さんは逃げたって言ってたけど、お母さんは?」
「母親はいない、死んだ」
「……何かごめん」
「別に。……たく、せっかく内定もらって就職できたのに台無しだ。あのクソ親父」
「おぉ、おめでとう。就職したってことは今22?」
「いや、大学1年浪人して、1年休学してるから24」
「え、同い年じゃん」
「てか、何であんな連中と仕事してるわけ?人喰いだから?」
「まぁ、そーね。中学生の時に死体の肉を食べてから普通の食事ができなくなってね。一時期、人を殺して食べてたんだ。そしたら雇い主のリークって人に拾われてね。さっきの連中は、裏のお偉いさんで、死んだ人間や殺す人間の肉をもらってる。アイツらから肉をもらわなくても良いんだけどさ、助けてもらった恩があるから」
「助けてもらった……?あの連中に?」
「うん」
リークに拾われてから数ヶ月経った頃。リークからの報酬が貰えず、内緒で人を喰おうとしたことがあった。
深夜帯、人気のない場所にホームレスが寝ていた。人だというのに飢えに飢えて肉に見えた。その時の俺は、本物の化け物になっていただろう。
ホームレス以外誰もいないことを確認した後、老人に襲いかかった。
その時、通りかかった裏のお偉いさん、組長に見つかり拘束された。事情を話し組長の前に転がった死体を食べると、組長は笑い『お前にご飯をやる』そう言って仕事をくれるようになった。
「あの時、死ぬほどお腹が空いてたからな。餓死して死ねば良かったんだろうけど、餓死できなかった」
一週間ほど飲まず、喰わず、寝ずして死ぬか試したけど、結局眠気には勝てず寝てしまった。それでも飲まず喰わずを繰り返しても、飢えに飢えを重ね、化け物となり人を喰う欲求には耐えられなかった。
「飢えたって欲求が高まるばかりで死ねない、それが現実よ。だから俺はヴィーザルを探して、ヴィーザルの肉を喰って死にたい!」
「ふーん、でもさ何でそんな死にたがるの?その人の肉を喰う以外で死ぬことがないなら、諦めて生きればいいじゃん」
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