アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
#2
-
生まれた瞬間から周りに愛される神もいれば、生まれた瞬間周りに忌み嫌われる神もいる。
例えば俺のような。
「うっ……あ、ああ……っ」
眩い天上とはかけ離れた、暗黒が広がる地下の世界。そこには邪神や悪神、不浄な魔獣が棲んでいた。
天に見捨てられた者達。……だからこそ、俺のように中途半端な存在も浮かずに暮らせている。
「相変わらず色っぽい声で鳴いてくれるな。この柔い肌と匂い……一緒にいるだけでやられそうだよ」
自分に覆い被さる男は、熱を帯びた舌で耳朶を舐めてきた。次いで体勢を変え、今度は真っ赤な胸の突起を強く吸い上げる。
「んああっ!」
「はは、またイッた」
脚を大きく開かされ、腹に飛び散った透明な液体をすくいとられる。
地下で覇権を握っているこの邪神は、絶頂に達した自分を満足そうに見下ろした。
「最高だ。またしばらくここに留まれるよう取り持ってやるから、俺が呼んだらすぐに来い。……いいな、ヴェルム」
汗で額に張りついた前髪を持ち上げられる。
開いたままの口からは唾液がこぼれ、荒い吐息しか出せない。
この万年発情神め。
心の中でのみ悪態をつき、小さく頷いた。
「いてて……っ」
解放されるや否や、床に落ちた服を拾い、身支度して館を出た。
地下では珍しいパールピンクの髪を手ぐしで整え、足早にその場から離れる。先程まで情事に耽っていたと思われないよう、端然と荒野に降り立った。
こんな腐った世界で品格を気にするのも少し違うのだが。
ここではより強い悪意と色慾を持つ者が覇権を握る。
弱者は強者に食われるか、もしくは支配下に置かれ、欲を満たす為に使われる。残酷で厳しい場所だが、ここに留まっているのには理由がある。
見る者を魅了する美貌の青年、ヴェルムは元は天界にいた。
慈愛の神を親に持ちながら、周囲の愛情を略奪する力を持って生まれた。ただそこにいるだけで他者を誑かしてしまう為、いつしか邪神と囃され、天界から追放された。行き場をなくして彷徨い、どんどん仄暗い下層へ降りていった。結果辿り着いたのがここ。
ここでもやはり生まれ持った力が働き、先程のように男神から求愛されることが多い。求愛と言えばまだ聞こえはいいが、要はていのいい男娼だ。
気が滅入る。しかし身体を売り、愛情を奪う自分はとっくに罪深い邪神に成り下がっていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 13