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#6
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「リオ、起きれるか?」
「ん……ふああ~。おはよ、ヴェルム」
「半年ぶりだな。呑気なことで」
声掛けで起きてくれたことが嬉しいのに、寂しさが勝って皮肉っぽくなってしまった。そんな意地悪な自分に、気怠げな青年は可笑しそうに微笑む。
「ごめんごめん。ヴェルムは相変わらず綺麗だよ」
「何言ってんだか……」
寝起きから口説くような男に育てた覚えはないのに、何でこうなったんだ。ため息をつき、目の前の腰掛けに座る。
ヴェルムがリオと名付けた彼は、それこそ女神のように美しい青年に変貌した。子どもの時は寂しがり屋で甘えん坊だったが、今は違う。
ぎし、と椅子が軋む音が鳴った。リオの手が肘掛けに置かれ、目の前を覆った。
「ふふ、信じてないなー? じゃあまた教える」
「んっ!」
視界が黒い影で埋まると同時に、唇を奪われる。
逃げようとしたが、両腕を押さえつけられ動けなかった。
……目覚めたらすぐにこれだ。起きたら起きたで、何故か凄まじい求愛をしてくる。
彼は怖いぐらい積極的で、大胆で、色気のある男になった。
「小さな口。かわい」
「ん……ふ、う」
熱い舌が口腔内に潜り込み、内側からとかしていく。
こんな口付け、一体どこで覚えたのか。必死に肩を押して拒絶するも、むしろ先程より激しくなり、脚の間に彼の膝が割り込んできた。
柔らかい部分をぐっと押され、思わず高い悲鳴をあげてしまう。
彼は俺の弱いところを知り尽くしている。
「いい加減にしろっ。俺は……お前の親だぞ」
「わかってるよ。世界で一番可愛い見た目の父親だろ」
「おい……っ」
馬鹿にされてると分かり、彼の頬をつねる。だが実際、容姿だけならリオの方が歳上に見える。これまでの経緯を考えると地味に屈辱だ。
でも、俺も相当甘い。彼が可愛いから、大抵流されてしまう。
「それより! 久しぶりに起きたから、一緒にお風呂入ろ?」
「……っ」
子どものように手を叩いて喜ぶ姿を見ると、断るという選択肢はがらがら崩れ落ちていくのだ。彼とこうして目を合わせ、話せることが嬉しい。触れ合うと、胸の中がいっぱいになる。
これは病気だ。だって、彼が眠っている時はここまで息苦しくならない。
真っ暗な浴室で、身体を洗おうとタオルを手に取る。
直後、気付いたら彼に押し倒されていた。
怖いぐらい逞しくなった胸と腕に抱かれ、腰を当てられる。
「ちょっ待て待て! いきなり無理だから!」
目覚めて早々、性欲爆発し過ぎだろ。全力で制止したものの、彼はあっけらかんと言い放つ。
「悪いけど全然抑えられない。俺は睡魔に抗えないから……本当は寝たりしないで、ヴェルムに触れて、めいっぱい愛したいんだよ。俺を愛してくれたみたいに」
「……っ!」
真正面から恥ずかしい台詞を受け、顔が熱くなる。やっぱりこいつは天性のタラシだ。
ただもうひとつ不思議なことがあった。他者の心を奪うはずの俺の力がまるで効いていないのである。
もしかすると、彼は俺が想像している以上に強い力を持っているのかもしれない。
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