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#11
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「また隠しごと?」
見透かしたような視線を受け、思わず動きを止める。
昔の面影はあまり残ってない……今では一人前の姿になった青年を前に、ボロボロの心では歯が立つわけがなかった。
「……いいや」
便箋は彼の胸ポケットに入れ、そのまま抱き着いた。彼の胸に顔をうずめ、裾を強く握り締める。
子どもみたいだ。情けないし恥ずかしい。真っ赤になっているだろう顔を見られたくなくて、ぴったりくっつく。
笑われるかと思ったけど、頭を優しく撫でられるだけだった。
かすかに彼が笑った気がした。でも耳や首にキスが落とされ、心地良さに眠くなる。
「もう、何も隠さないよ」
親の役目は終了だ。
本当はもっと早く終わらせるべきだったが、どうしてもできなかった。
自分が幸せなことにも気付かないなんて、本当にしようもないな。
────こんなにも愛されていたのに。
「良かった。隠したとしてもこれからは暴く気満々だったけど」
諦めて顔を上げる。もう何度も見られてる泣き顔だから、躊躇せずに唇を重ねた。
温かい。
リオに出逢えて良かった。嬉しくてこんなに泣きじゃくるなんて、これも生まれて初めての経験だった。
永遠に夜が広がる地下と違い、楽園は光に包まれている。
温厚で朗らかな者達が歌い踊り、楽しそうに過ごしていた。
「リオ様、抱っこしてー! あの木に上りたい!」
「はいはい」
誰にでも優しいリオはすっかり馴染み、周囲に愛情を注いでいた。稚い者達からは一番人気で、ほとんどの時間拘束されている。
こちらとしても遊び相手が女性よりは安心できるが……。
ヴェルムは無理やり心を落ち着け、大きな岩に腰を下ろした。
「物憂げな顔してるな。ほったからしにされて寂しかった?」
ため息をついたところを聞かれたらしい。
見ると、さっきまで子ども達と遊んでいたリオが隣に来ていた。
「寂しいって……子どもじゃないんだぞ」
「そう? じゃあ今のは恋する乙女のため息だったのかな」
「やめろ」
にやにやしながら尋ねてくるリオに手をかざす。羞恥心から顔を背けると、逆に手を掴まれた。
「違うのか。残念だな。俺はずっとお前のこと狙ってるのに」
腰を引き寄せられ、バランスを崩した。すっぽり彼の胸におさまり、見上げる形になってしまう。
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