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#12
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「ここに来た時から。いや、地下にいた時からお前を愛していた。だから父親じゃないと知ってすごく安心した」
「ああ~……そう」
温度差が激しくて申し訳ないが、こっちとしては冷静を装うしかない。
天からの手紙を渡したことで、リオは自身の出生を知った。本来なら天界に帰るはずが、神々の誘いを断ってここに留まっている。
その理由は、俺といたいから。そう言われた時、喜びと罪悪感で一晩寝込んだ。
リオのことを考えれば力ずくでも天界に帰すべきだ。もちろん何度も説得はしたが、彼の意志は中々覆らない。
「お前の気持ちは本当に嬉しいけど、軽々しく承諾はできないんだよ」
これは最後の親心だ。しかし彼はそれすら一蹴し、強引に唇を奪う。
「いいよ? もうお前の意見は聞かない」
「なっ!」
「親子じゃなくて赤の他人なら、どれだけ求婚しようと自由だろ? 地下じゃ眠ってばっかで反抗期も迎えられなかったし! ここからは勝手させてもらう」
あまりにめちゃくちゃな言いぶんに目眩がした。
自由にさせ過ぎるのも問題だったか……。
むしろ今は彼から逃げた方が良い気もする。青ざめながら後ろに引いていると、簡単にばれて押し倒された。
「ヴェルムは周りの愛を奪うから、言わば略奪の神だよな」
「……」
微笑む彼の顔を見上げる。結構力を入れてるのにびくともしなくて、地味に腹が立った。
「略奪愛って最低だけど、それはそれで何か滾るものがあるよな」
「何言ってんだお前は」
段々迷走している彼に真面目に突っ込むも、襟元のボタンを外されてしまった。あらわになった白い肌に、彼の長い指が滑る。
「ははっ。単刀直入に言うと、今度は俺が、お前を略奪したいって話」
慈愛の神とは思えないほど、リオは狡猾な目つきで口端を結んだ。
「やっと周りを気にせず、堂々とお前に触れられるんだから」
今さらだけど、俺は何十年も前にやらかしていたみたいだ。
愛情深いなんてもんじゃない。身体まるごと包み込むような、熱くて甘い青年に捕まっていたのだから。
これはもう逃げられそうにない。観念して力を抜いたヴェルムに、リオはそっと覆いかぶさった。
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