アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
タピ活してたら、拐われた。
-
タピ活していたら意識を失った。目が覚めると、空の上。何かの建造物の上に寝かされていた。
蓮は頭を抱えながら身体を起こす。目の前には蓮が買ったタピオカを吸っている男がいた。
「誰?」
黒髪に三白眼の漆黒の瞳。肩から漆黒の羽が生えており、ブラックスーツを着ている。
「死神?」
「いや、天狗だ」
すかさず、天狗が訂正した。
「天狗って山にいるんじゃねえの。何で都会に」
蓮の中で天狗のイメージは、長い鼻に山伏の格好。目の前にいる天狗はそうではない。羽さえなければサラリーマンに見える。
「山に来る人間はウェイウェイ言って言葉が通じない」
天狗は目を伏せ、アシンメトリーな前髪を掻き上げた。
「ウェイウェイ?」
蓮は話が通じそうで安心した。少し心を許す。
「拐(さら)っても映えーとか言って写真を撮ってくるし、我はそういうのを求めていない」
ふう、と鼻をならす天狗。
「いや、あんたが飲んでるタピオカって映え要素ありまくりだろ」
何が目的で連れて来られたのか、わからない。蓮は理由を探ろうとした。
「一緒にいた女は撮っていたが、蓮はそうじゃなかった」
ニヤリ、と天狗は笑う。蓮は一緒にいた彼女を思い出した。
「彼女は無事か?」
「ああ、蓮だけをさらってきたからな」
天狗は漆黒の羽を広げる。バサリ、と羽を動かせば宙に浮いた。
「さらっと名前を言うんだな」
蓮は立ち上がった。掃除をされていないコンクリートのせいで、蓮が着ていたダッフルコートは真っ白に汚れている。
今頃、彼女は大騒ぎしていそうだ。SNSで拡散していないとこを祈る。
「ああ、ずっと蓮を見ていたからな」
天狗の瞳が紅蓮に変わった。蓮のことを見透かすように見つめている。何もかも知っているように見えた。
「俺を……」
蓮には、好きな人がいた。一緒にタピ活をしていた彼女のお兄さん。天狗は彼女の兄に似ていた。
「我は蓮の好みであろう」
ドヤ顔で笑いかけてくる天狗。宙に浮くのをやめて、地面に下り立った。堂々と歩く姿は自信に満ちあふれていた。
「一週間、神隠しに遭いたくないか」
人差し指を立て、蓮に突きつける。蓮は突きつけられた天狗の手を握った。天狗の手はあたたかい。
「そこまで言うならやってみてよ」
蓮は手の甲にキスをする。天狗は蓮の行動に驚いた。
ーーどうせ、叶わない恋なんだ。少しぐらい遊んだってバチは当たらない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 16