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叶わない恋の現実逃避
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蓮は足を天狗に向ける。叶わない恋の現実逃避ができるなら、なんでもよかった。
***
蓮は天狗に抱えられ、空を飛んだ。離れてみると、蓮がいた場所はスカイツリーだった。
「あんなところにいたんだ。もっと別世界に来たかと思ってた」
蓮がタピオカを買ったのは、スカイツリーの真下にある店舗だった。空の上だとはいえ、現在地はさほど変わっていない。
不意に、浮遊感を感じた。
「うわああああああ!!」
とても早いスピードで落下している。天狗の顔を見れば、平気そうな顔をしていた。わざとだ。
「なにやってんだよ! 死ぬ死ぬ死ぬ!」
バンバンと天狗の胸を叩く蓮。鬼気迫る顔で天狗に抱きついた。
「空に建物はないでしょ。目的地に着くためには下りないと」
笑う顔は悪魔のようだった。蓮は天狗ではなく死神だと錯覚し始める。蓮は恐怖で気絶した。
「え、うそ。ガチで?」
天狗は慌てて蓮の顔をペチペチと叩く。叩かれても、蓮は起きる気配がない。
***
蓮が再び目が覚めた時、ベッドの上だった。天狗の姿と同じく、黒で統一されている。失神した副作用か、頭痛がした。
「あーいてて……」
蓮は頭を抱える。
そこに、天狗が部屋に入ってきた。マグカップが乗ったトレーを手に持ち、蓮に近づいてくる。
「慣れないことをしたから、脳に負担がかかったんだよ。これどうぞ」
天狗にマグカップを差し出され、受け取った。マグカップは熱く、液体は黒い。中身がわからないものを飲むか悩む。
「ただのコーヒー。甘いタピオカの後に合うでしょ」
天狗は蓮がいるベッドに腰掛けた。蓮は途中、大声で叫んでいたので喉が渇いている。一口飲むと、口の中に酸味が広がった。天狗の言う通り、ただのブラックコーヒーだ。
一口、二口飲んで天狗にマグカップを返す。天狗はベッドの傍にあったテーブルに置いた。
「なぁ、天狗、さん」
蓮は口ごもる。天狗と呼んでいいのか迷ったからだ。
「我の名前は、劉星(りゅうせい)」
トン、と劉星は蓮の肩を押した。不意に押された蓮はベッドに寝転がる。
ーー顔だけじゃなくて、名前も似ている。
「ベッドの上でやることは一つだろう。蓮も意識していたはずだ」
しゅるり、と締めていたネクタイを解く劉星。首筋には血管が浮き出ている。男らしい肉体に、蓮はゴクリと息を飲みこんだ。
「い、嫌だ」
蓮は顔を背ける。すると、目の前に漆黒の羽が遮った。クスリ、と笑う劉星の声が聞こえてくる。
「本当に嫌だと思ってる?」
劉星は悪戯っ子のように笑う。蓮は恥ずかしそうに首を振った。
「人は本音と言葉が合致しねえの」
顔を赤らめながら蓮は答える。股間は痛いぐらいに膨らんでいた。
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