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襲撃
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ーー三日後。
スマホの電源をつけていると、連絡がたえなかった。蓮の彼女が捜索願いをSNSで呼びかけたからだ。大事になる前に、旅行に出ていて、しばらく帰らないと伝えた。それでも彼女は疑っているようで、連絡がたえない。だから、スマホの電源は切っている。
外には出られないものの、劉星は美味しいものをお腹が満腹になるぐらい食べさせてくれた。
「少し、太ったかもしれない」
運動をしないことで、お腹周りを気にし出す蓮。すると、ガッシャーン、と何かが割れる音がした。蓮は身体を大きく震わせる。
「劉星……?」
蓮がいる寝室に劉星はいない。部屋の外で倒れたかもしれないと、蓮は部屋を出た。
寝室のドアを開けると、ベランダに繋がる大きな窓が割れている。割れたガラスの上に劉星ではない天狗がいた。
昔話に出てくるような山伏の格好。劉星の仲間ではなさそうな風貌に、蓮は寝室に戻ろうとした。
「止まれ、人の子よ」
シャラシャラと細かいガラスが落ちる音。劉星と同じ漆黒の羽にガラスの破片がついている。
この天狗が窓を割り、侵入した。
天狗が蓮を見る。天狗は赤い長鼻のお面をつけていた。蓮が驚き、息を飲みこむ前に天狗が話しかけてくる。
「ここにおるアホはどこにおんけ?」
お面をつけているため、表情がわからない。よりいっそう蓮の中での恐怖が大きくなった。
「知らないです」
蓮は寝室に戻ろうとした。ゆっくりと後ずさる。
「そうけ、もう用ないわ」
天狗は手のような大きい葉、ヤツデの葉。別名『天狗の羽団扇』を振った。ビュン、っと強い風が吹く。
「え」
風圧を感じたかと思えば、蓮の身体が引き裂かれた。見えない刃物で切られたような切り傷。寝室は蓮の血で染まる。蓮は立っていられなくなり、その場に倒れた。
蓮はなぜ攻撃されたのか、わからない。
「蓮!!」
リビングから劉星の声が聞こえた。何を話しているのか、言葉は理解できない。エコーがかかったように、聞こえにくい。天狗と言い合っているようだった。
肉弾戦に持ち込んだのか、ガタン、バタンと床を通じて振動がくる。
ーー俺、死ぬ?
身体の下に溜まっていく血。あまりにも多い出血量に蓮は死を覚悟する。
ーー好きな人に顔が似てるから、と代わりにしようとしたからバチが当たったんだ。自業自得。
蓮はゆっくりとまぶたを閉じる。
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