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好きと言えばよかった
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「好きと言えばよかった」
身体が強い力で揺さぶられる。蓮は死んでも、ゆっくりさせてもらえないと目を開けた。目の前にいたのは、黒髪の男。才賀の兄かと思ったが、目の色が違う。紅蓮の色だ。天狗の劉星の腕に抱かれている。
「お前も、死んだのか」
劉星の背後に見える空は青空だった。雲一つ無い青空に異世界を感じる。
「死んでないし、蓮も生きてる」
三白眼の瞳から涙が落ちた。涙が蓮の頬を伝う。蓮は頬に流れる涙を拭おうと、手を動かせば痛みを感じなかった。おかしい、と思い自らの手を見ると切り裂かれた腕の傷は塞がっていた。
「……なんで?」
蓮は劉星の腕から転がり落ちる。辺りを見渡せば、リビングどころか部屋ごと吹き消し飛んでいた。部屋一帯は粉々に砕けちり、あと一歩動いていれば、蓮は無残な姿になっていたのかもしれない。
「蓮の傷は全て塞がっている。我が注ぎ込んだ精液が身体を作り替えた」
劉星は蓮の身体を後ろから抱き締める。漆黒の羽が蓮の視界を暗くした。羽から体温を感じる。失った体温が少しずつ回復していく。もぞり、と蓮は羽の中で身動きをした。
忘れていた。劉星は才賀の兄の容姿のせいで、人間味を感じていたけど人じゃない。天狗だ。
体温が戻り、劉星の羽から解放される。蓮の服は天狗の襲撃によって、ボロボロになっていた。身体が切り裂かれたのは事実で、服の切れ端に血がついている。
「今の俺って全部お前でできているんだな」
手を握りしめる蓮。違和感は一切感じない。むしろ疲労感がなくなっている。
「人間じゃなくなったみたいだ」
蓮は何回も確認するように、塞がった傷跡を見た。
「怒っているか」
劉星は蓮のお腹を撫で回すように触る。指の腹でなぞられれば、蓮はゾクリ、とした。
「いや、劉星がいなかったら間違いなく死んでた」
走馬灯のようなものを見た。初めて誘拐された日にセックスをしていなければ、間違いなく死んでいただろう。
「人間は死を意識すると、本能で勃つというのは誠だったな」
劉星に股間を握られ、勃起していたことに気づく。
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