アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
その後、劉星の顔【壱】
-
「なぁ、なんで才賀劉星の顔に似てるの? 才賀劉星本人じゃないの?」
落ち着いて数日後、ふと思い出した。決着をつけるためにあの場所へ行ったのに、天狗との戦いですっかり忘れていた。
「違う。天狗は人攫いしやすくするために顔が変わる。人語を話して人の姿に化けて青年を誘惑する。それだけだ」
「じゃあ、劉星の本当の顔は違うってこと?」
「あぁ、そういうことになるな」
「じゃあ、本当の顔を見せてよ。別に今の顔じゃなくても劉星のこと好きだし」
好きと言えば本当の顔を見せてくれるだろう。そう期待したが、無理だった。
「……できない」
どこか劉星は申し訳なさそうに言った。
「なんで?」
「自分の本当の顔を忘れてしまった」
劉星は頬に手を当てる。
「そんなことないだろ」
「人間だった頃は何回も何回も整形をして顔を作り替えていた。過去の写真は燃やして捨てて昔の知り合いとも縁を切った。新しい自分の顔を知っている人だけしか関わりがなくなっていって、自分の顔を忘れてしまった」
「そっか……じゃあこの話は終わり!」
蓮は暗くなった雰囲気が耐えられなかった。整形反対派でもないが、自分が整形しようとは思わない。痛いのが苦手だからだ。でもその痛みを何回も繰り返していたってことは、よっぽど自分の顔が嫌だったのだろう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 16