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昼食を食べ終わり、マンションに帰る道中
悠都が「そういえば、」と何かを思い出したかのように話しかけてきた
「真紘さん、今度っつても大分先なんすけど
剣道の試合があるんでまた来てくれませんか?」
この前の大会とは別の大会で、次の大会に勝てば、 全国大会に出場出来るらしい。
俺としては試合を見に行くのは全然良いけど…
「うーん無理して俺を誘わなくてもいいだぞ?
俺なんかより家族とか、好きな相手がいるんだったらその人でもいいし…
とにかく俺をいつも誘う必要ないと思うけど」
俺なんか、ただの顔見知り・知り合い・友人の枠で しかないんだから
チクン。
小さく自分の胸が痛んだ気がした。
「ちゃんと気になってる人も、誘ってますよ」
「そうか、」
チクンチクン
胸の痛みがさっきよりも鋭く、痛む。
「じゃあ何も問題ないな!俺は友人として、試合
見に行くから」
「そっすね…問題ないすよ、だから来てくださいね、絶対。
次は1位を取るんで、1位取ってその人に見せてやるんすよ、『あなたのおかげで1位になった』って」
チクッ…ズキン、ズキッ
痛い、痛い、胸が痛い。
なんでこんなに痛いんだ、苦しい。
「だから、真紘さんも俺が1位なる瞬間と、その人にさっきの言葉言った時、喜んでくださいね」
「任せろ!その為にももっと練習頑張らないとだな!」
「そっすね。
だから大会まで俺、真紘さんと会うのやめときます、絶対勝ちたいんで練習も自主練も今までより頑張り たいんで」
本気で勝ちたい。
そう、悠都の言葉からも表情からも伺えるほどだった。
「おう、分かった。また場所と日にちの詳細はLI◯Eで送っててくれよ」
「りょーかーいす、じゃあマンション着いたし、あとちょっと片付けて解散にしましょーか」
「そうだな」
胸の痛みが取れないまま、痛みの理由が分からない まま、数ヶ月悠都に会わぬまま、時だけがどんどん 過ぎていくのだった。
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