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宴も酣(たけなわ) (1)
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戸田と奈々子は起きて朝食を食べて帰って行った。
「帰っちゃったね」
「おぅ」
戸田と奈々子を見送って
「エッチする?」
と松永にとりあえず聞いておく。
「時間ない」
と松永は台本を真面目に読んでいた。
「したい!!」と抱きついて首筋や頬にキスをしてじゃれつく。
松永は全く構ってくれない。
「いやー・・・・その内容をちゃんと覚えても進行通りに行かんぞ」
「そうなん?」
「途中で大乱闘になると思うが」
「でも一応覚えとく」
モリクミ、喜べ。
お前のむちゃくちゃな台本を松永はちゃんと覚えよるぞ。
俺は流れだけしか覚えんが。その流れすらうまくいかんと思うぞ。
今日の文化祭が終わったら家に帰ってエッチを必ずする、と松永に確約をさせてその場は我慢した。
朝から俺がじゃれついてめんどくさかったのかもしれないが。
文化祭二日目
討論会は昼過ぎからだ。
モリクミと俺と松永が抜ける間は鎌田とお富さんが代わりに入るらしい。
特設ステージは園芸部の屋台の斜め前方にある。
パイプ椅子が並べられ鉄筋で作られた段差のあるステージ上では今、どこのサークルかは知らないがダンスを披露しているようだ。
そのステージが一気に地獄と化すのだろう。
モリクミは他のサークルで買って来たのか焼き鳥を2パック食べながら
「あーん、緊張して来たー!!松永くーん、長野くーん。どうしよー!!」
とふざけたことを言う。
「焼き鳥そんだけ食べられたら緊張なんかしてないだろ。緊張してるなら俺たち出るのやめようぜ」
「それは駄目よー。神様が与えてくれたテニスサークルの連中含め大ダメージを与えるチャンスなんだからー」
「園芸部も大ダメージを受けるような」
「松永くーん。園芸部には元々、ダメージを受ける程HPあるわけじゃないのよー。ほぼ0だから無敵なのー」
どんな理屈だ。
時間が迫っていた。
俺とモリクミと松永は演劇部の倉庫に衣装を装着しに向かう。
「で、なんでこの格好なんですか?」
「えー。やつらを糾弾するのにはこれが一番合ってるじゃなーい!!きゃー!!破壊力すごすぎ!!制帽深めでかぶって上目遣いであたしを見て!!きぃいああああ!!」
おい。松永も真面目にリクエストに答えるな。
モリクミはミニスカポリス、俺と松永はこれは日本の警官の格好とは思えないがどこの国だ?黒の警察服みたいなのと制帽。黒のブーツに黒の皮手袋。俺は警棒を持たされているのに松永はムチを持たされていた。
「衣装さんたちありがとー!!この素材のテカり具合と体のラインにフィットしてるのがいい感じ!!」
松永の制服を撫でながらモリクミはうっとりしている。
「モリクミ、お前の趣味入ってるだろ、これ」
「あーん、長野くーん。ウェストのラインもうちょっと強調欲しいなあ!!衣装担当の皆さん!!時間がないわ、急いでつめて!!二の腕のピッタリ感はいい仕事してる!!あーん、長野くーんの力こぶー!!警棒を肩で持ってみてー!!そしてあたしを見下した目で上から見下ろしてみて!!」
こいつ・・・・・。
そのまま警棒を振り下ろしたいウザさ加減だった。
モリクミのミニスカポリスの重量感が半端ない。
ボンレスハムに近い。
何故、ミニスカなのに網タイツを履いて黒のロングブーツ、ヒール、女王様と合体しました的な衣装になっているんだ。
胸の谷間を強調しているがいかんせん、モリクミなのだ。
全く色気を感じさせない。凶暴、という言葉がぴったり来る。
「さ、出陣しましょ!!」
討論会まで約30分。
松永はまだ台本とにらめっこをしている。
「松永、台本通りいかないから」
「う・うん」
緊張している。
安心させる意味と可愛いから抱きしめておいた。
「きぃいいああああああ!!」
モリクミほんとにうるさい。
ステージの裏に移動し、他のサークルがそれぞれのサークルに適した格好をしている中、園芸部の格好を見て、他のサークルは唖然としていた。
「園芸部さん。何故その服?」
「えー?それは始まれば分かると思うわー」
他のサークルが話しかけてくるのをモリクミが適当にあしらっている内に、その時は来た。
それぞれのサークルが司会者に呼ばれて壇上に現れる中、園芸部は最後に呼ばれる。
台本通り・・・・・・ってなんだと!?
ステージ上に現れるところにいきなりスモークが焚かれ、今までCD音源だった音楽が吹奏楽部の生演奏に変わった。
これ火サスのテーマソングじゃねえか。
モリクミを見る。
「吹奏楽部にもたくさん賄賂を贈ったけどいい仕事するわー」
「おい、モリクミ。そんなの台本にないぞ」
「モリクミさん、これマイクです!!」
「マイク?ステージの机の上にサークル毎にあるって台本にあったような」
松永がスタッフに聞く。
「いえ、これはモリクミさん専用です!!」
「ええっ!?」
「さ、長野くーん。松永くーん。準備オーケー?出るわよー」
司会者の声が響く。
「とうとう最後のサークルになります!!こちらのサークルが元祖というサークルも多いんじゃないでしょうか!?○○大学のサークルの立ち上げに貢献し、今なお我々の度肝を抜くパフォーマンスで右に出る者がいない、園芸部ですっ!!」
園芸部の活動に全く関係のない紹介のされ方をしているぞ。
パフォーマンスで右に出る者がいないって、園芸部関係ないじゃないか。
しかも他サークルの立ち上げを手助けしたのは初代園芸部部長個人であって、俺らも園芸部もなんもしとらんだろーが。
その程度の認識でしかないのだろう。確かにその通りなんだが。
火サスのテーマソングに乗って俺たちはスモークの中から登場した。
するとモリクミが手に持ったマイクで歌い出した。
「火曜サスペンス劇場のオープニングって歌あったのかな?(※後に注釈)」
と松永が変なところで驚いている。
さすがに松永も火サスのテーマは知っていたか。
驚くところが違うだろう。
なんでモリクミが吹奏楽部の演奏と一緒に歌い出したかの方が問題だと思うが。
そして無駄にうまいのがさらにイラッとさせられる。
台本にそんなのないぞ!!モリクミぃいいいい!!
台本通りに進まず横で狼狽している松永。
客席の多くの視線の中、台本の為に拒絶を発動せずにいる松永は「うーん、うーん」と悩んでいる。
拒絶し始めたら台本通り動けなくなるとでも松永は思っているのかもしれない。
屋台の時のように松永のセリフと動きは少なくなかったはず。
こんな状況でも真面目にやろうとしているのか。
おかしくて可愛くて笑ってしまった。
「もう発動しちゃっていいって」
と、隣で困った顔をしている松永を見ながら思った。
どうせこの討論会、台本通りうまくいくどころか大乱闘になるんだから、と。
※長野の文章の中で説明が必要と思われたので、説明になります。
火サステーマソングはwikiで調べると主題歌(テーマ曲)はオープニング及びエンディングで使用され、オープニングではオープニングテーマの最後の部分にサビ部分を接続する形で複数の曲が用いられていたとのことです。
つまり、火サスのよく聞くテーマソングの後に何かの曲のサビが挿入されるのが第1期、第2期・・・・というように代を重ね、曲を変え、2005年の放送(8代目オープニング)からは番組冒頭ではオープニングテーマのみとなり主題歌のサビ部分へは接続しなくなったとあります。
この時モリクミ先輩が歌ったのは、長野と僕の記憶が確かなら調べたところ、第1期の岩崎宏美さんの聖母たちのララバイのサビだったと思います。
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