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触手の国の冷酷な王子さま
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■ ■
――もう、舌を噛んで死ぬしかないんだろうか。
俺は地下牢で両手両足を鎖に繋がれていた。ひび割れた石畳の床からは絶えず地下水が染みている。牢の空気は、じめじめとして澱んでいた。
地面の水溜りには麻のみすぼらしい囚人服を着た俺の姿が映っている。頬は泥に汚れ、赤茶の髪は乱れてボサボサになり頬に張り付いている。普段から表情を健康的に見せていた緑の瞳は、今は床の水と同じく暗く沈んだ色を讃えていた。
少し前まで、音楽家として王宮の広間で楽器を演奏していたようには見えない。
「絶対に秘密を暴いて見せます!」そう意気込んで潜入してから半年が経っていた。他のスパイたちよりも長く持った方だ。
仕事は上手くいっているように思えたが、どうやら最初から王子の掌の上で踊らされていたらしい。
(せめて国に、噂の生物兵器の秘密だけでも持ち帰りたかった)
スパイとして隣国に雇われている俺は、ショクシューノ国の王宮へ音楽家として潜入していた。
自国のスパイの間では潜入捜査をする場合、兵士として入隊するのが王道だった。しかし潜入が容易い反面、兵士は優秀であれば優秀であるほど警戒される。
その点、宴のたび呼ばれ王宮に出入りする音楽家なら、王家の人間に一度気に入られてしまえば、その後警戒される心配がない。
この数年の間で、屈強な同僚のスパイの男たちが何度も潜入を試みた。
しかし王宮が隠し持っているという「生物兵器」に敗れスパイとして再起不能となっている。
そして、この俺が隣国へ送られた最後のスパイだ。
俺は潜入するにあたって、事前にスパイ仲間に話を聞こうと試みた。
潜入に失敗した彼らは、皆国境付近で発見されているが、怪我もなく見た目上は無事だった。
しかし彼らは戻ってからは、口を揃えて「あのままイきたかった」と言うばかりで、会話が成立しない。隣国が所持しているという生物兵器の詳細は依然不明のままだった。
夜毎、泣きながら「ショクシューノ国」へ連れて行ってくれと訴える男たちが一体、王宮でどんな目にあったのか――。
同じように捕まってしまった今、俺も彼らと同じように精神を崩壊させて、再起不能になる運命が待っているのだろう。
今日まで自国の命令で、さまざまな潜入調査を成功させてきたし、任務を成功させる自信もあった。
「……その自信が、失敗につながった、か。くそっ……情けないな」
俺は暗い牢の中で苦々しく独り言をこぼした。その時だった。
牢の鍵が開き二人の兵士が俺の両手両足の鎖を解いた。死ぬ覚悟は出来ていた。
「はっ、首でも跳ねに来たのか。いいさ、覚悟は出来ている。やってくれ」
「お前は今から、殿下じきじきに刑を執行することになっている。どうせ、お前も、それが目的だったんだろう」
「なんだ、死ぬ前に貴国の噂の兵器を見せてくれるってことか。一体どんな物なんだ」
「さぁ、我々は兵器を使うところを見たことがないし、お前を、殿下のところへ連れて行くだけだ」
「いいのか? 俺を連れて行ったら、暴れて大事な王子様の命を奪うかもしれないぜ?」
王家に仕える兵士たちは含み笑いをした。
「その心配はない。リタ王子は、この国一番の力をお持ちで、とてもお強い方ですから」
「強い? 王子様が?」
「殿下は、例の兵器に愛されていますから。力に屈することはありません」
「愛される? どういうことだ」
俺は隣の兵士に問い詰めた。兵士は小さく笑った。
「ご存知でしょう? あなたの国に帰されたスパイたち。彼らが「ああなって」しまったのは、全部リタ王子がお一人でやったことです」
「一人、で」
「えぇ。それに私たちは、あの聖なる広間には入ることを許されていません。きっと……入ったら最後、私どもがあの化け物に食べられてしまうからでしょう。とても、お優しい方です」
「優しい、だと」
「えぇ。まぁ、あなたは、当然あの広間に入った途端、”食われて”しまうのでしょうけど」
にこりと笑う。兵士たちの気味悪い表情。
リタ王子の手で正気を無くした俺のスパイ仲間たち。思えば彼らは一様に、何かに心を奪われたような、どこか恍惚とした表情を浮かべていた。
(まるで神にでも会ったように)
その姿を思い出しさらに恐ろしくなる。どんな恐怖体験をしたら、あんな顔になってしまうのか。
兵士たちは「食われる」と言ったが、五体満足のまま国に帰されている。
スパイとして再起不能とはいえ、命までは取られていない。
音楽家として王宮へ潜入していた半年間。俺の演奏したリュートの音色に耳を傾けるリタ王子の姿を思い出す。
極悪非道な王子には、とてもみえなかった。てっきり俺は生物兵器を使って「悪事」を働いているのは現国王だと思っていた。
(リタ王子が一人でやっていたのか……)
銀色の腰まである美しく輝く長髪に、透き通った灰色の瞳。
他の音楽家たちと共に王家の前で演奏する俺に、優しく温かい眼差しを向けていた。
彼らに取り入るため王族を音楽で魅了してやろうと意気込んでいたのに、自分の方がリタ王子の美しさに魅せられ、何度も我を忘れそうになった。
(昨夜は、今までで一番いい演奏ができたな……)
俺はスパイになる前は、音楽で食べていた。音楽家の家に生まれたのだから、時代が違えば演奏家としての未来もあったかもしれない。
それが国のためと楽器を奪われ命令されるままスパイになった。
一番いい最後の演奏が、敵国の王家の広間だなんて運命は残酷だ。
最後の演奏が終わり、広間を出た瞬間、俺は拘束されて地下牢に放り込まれてしまった。あっけない終わり方だった。
■
兵士二人に両腕を掴まれ地下牢から連れてこられたのは、王宮の長い廊下の一番奥の部屋だった。
大きな扉を開け部屋の中に放り込まれると。後ろで鍵の落ちる音がした。
生物兵器が置かれている秘密の部屋。俺は恐る恐る顔を上げた。
「ようこそ。カイル・ナイトシェイドだったか? 偽名だろうし、名など、どうでもいいが」
床に膝をついている俺に、にこりと微笑みかけるリタ王子。
王子は金色の刺繍が施された白いシルクの夜着を身に纏っていた。
ここが王子の寝室だと分かった。隣国のスパイが部屋の中に放り込まれたというのに、リタ王子は余裕の表情を浮かべ、どこか楽しげにも見える。
俺は目の前に広がる光景に思わず息をのんだ。
彼は部屋の中央でベッドの上に腰掛けていた。その背後からは数十本もの長い突起が伸びてリタ王子の周りで蠢いていた。薄紫の透き通った一本の触手がリタ王子の手に触れた。
まるで愛しいものに触れるようにリタ王子は、その触手に微笑みかけ、近づいてきた一本のその頭部らしき部分を撫でる。
大人しく王子に傅く従順な触手たち。まるで愛玩動物だ。
部屋に入った途端、甘ったるい匂いに頭が変になりそうだった。俺は、その場から立ちあがろうとした。けれど途端に王子の周囲にいる数多の触手たちが急速に伸びて俺に向かってきた。そして触手たちによって、瞬く間に身動きが取れないようにされてしまう。
地下牢を出た時に両手、両足の鉄の鎖からは解放された。しかし今度は代わりに、ぬとぬととした柔らかい腕くらいの太さの生物に四肢を拘束されてしまった。
頭の上に両腕が固定され、不安定な体を支えるように、両膝が冷たい床へわずかに当たっている。
「ッ、り、リタ、王子」
「ん、何だい?」
恐ろしさで声がうわずっていた。自国では凄腕スパイで名が通っていた。拳で殴り合いなら勝てる自信があるのに、王子の纏っている異様な雰囲気に気圧されていた。
「これ、が……あなたの国が所有している、生物兵器ですか」
「兵器、というより私の一部だね。私は呪われた王子だから」
「呪われた?」
「この国は、代々この子たちの呪いを受け継ぐ運命にある。だから、私はこの子たちを国のために食わせている」
「ッ、こ、こんな不気味で恐ろしいものなど、燃やして殺してしまえば」
「君は、随分ひどいことを言うんだな。この子は私。彼らが死ねば私も死ぬ。そういう呪いだ。この子たちの面倒を見るのは私の運命で、定められたことだ」
運命だとしてもそれは、リタ王子が望んでいることなのだろうか。
目を細めて笑う彼の姿を見て哀れに感じた。誰もが羨む容姿を持ちながら、恐ろしい触手に囲まれている王子。
リタ王子はベッドから立ち上がると俺の前に触手たちを従えて立った。
「お、俺を、この場で殺すのですか。それを使って」
リタ王子の周りを触手たちが、うぞうぞと蠢いている。
「まさか。殺さないよ。他国はこの子を兵器だと思っているが、違う」
「じゃあ……」
「この子たちは、世話をせず放っておいたら世界を狂わせてしまう恐ろしい生き物――。だから定期的に人間を生贄にする必要があるだけ、まぁ、それを悪とし世が兵器というなら、そうなんだろうが。それでもね……申し訳ないから、彼らにも少しは「いい思い」をさせてあげてる。感謝の意味も込めてね」
グロテスクな外見の触手と、美しく妖艶な表情を浮かべる呪われた王子。まるで残酷なおとぎ話でも見ているようだ。
「生贄って、だからって、人を……」
「食わせていい理由にはならないと?」
「そ、そう、だ」
王子の笑顔に俺は怯んだ。
「でもね、いつも触手たちの虜になってしまうのは、この城に許可なく入ってきたスパイたちの方だよ?」
「虜って」
リタ王子は生贄を食わせていることに、全く悪びれる様子がない。
必要だから、世界のために自分が世話をしている。仕方ないというスタンスだった。
「試しに、君もこの子たちの相手をしてみるかい?」
「相手」
「知りたいだろう? この城にやってきたスパイたちが、どんな目にあったのか、君も」
「ッ!」
一本の触手が俺の口の中に無理やり侵入してきて口を塞ぐ。触手から出る粘液は苦く、思わず吐き出してしまう。
「ッ、ぅ、ふぅ、ぐぅうう、おぇ」
「あぁ、吐いてはダメだ。この薬をちゃんと飲まないと。初めては、とても痛く、苦しいものだから」
「ッ、っ」
「さぁ、しっかり、飲んで。奥深くまで受け入れなさい」
そういってリタ王子は、俺の顎に手をかけ唇を人先指でなどる。
そして何の躊躇もなく俺と唇を合わせた。薄い唇は俺の唇をこじ開け、優しく舌を絡めてくる。なんで俺はキスされているのだろう。そう思いながらも王子からの優しい舌の愛撫に、頭は次第に正気を失っていく。
飲み込めなかった触手の出した苦い液体は、リタ王子のキスで無理やり飲まされてしまった。
「ッ、ぁ、げほっ……ぅ、はぁ……はぁ……」
「今度は、美味しかっただろう? 少し甘くしてやった」
「そんな、美味しいわけ、ない」
「でもね、体は喜んでいるみたいだが」
「……ッ、か、から、だ?」
息も絶え絶えで答えていた。
「ココがとても苦しそうだ」
言われて俺は麻の囚人服の下のズボン、その下腹が勝手に隆起しているのに気づいた。リタ王子は俺の盛り上がった下腹に手で触れると、そのまま下の衣服を丁寧に脱がした。ふるりと衣服から外に出てきた勃起は、いつの間にか腹につくくらい興奮していた。
両足を触手に拘束され床に膝をついている。下着と服は床に落ちることなく膝で止まっていた。高貴な身分であるリタ王子の前に無防備に性器を晒している。
顔が羞恥で耳まで真っ赤になった。
「スパイなんてしているのだから、他人に裸を見せるくらい慣れているのかと思ったが、随分と可愛らしい反応をするのだな」
そう言って性器を指で優しく弾かれる。
「うっ……」
「ここへきた他のスパイたちは、君のように顔を赤くして羞恥に震えたりしていなかったよ。だから、とてもつまらなかった。まぁ、すぐに我が呪いに屈して落ちてしまったけど」
「ッ、なに、を」
「いい目だね。私は、君みたいな子は好きだ」
耳に、そっと息を吹きかけられる。その王子の吐息に、体がぞくりと震えた。
「ッ、ぁ」
「他のスパイのように、最後には楽しめるといいね。――私なんかに遊ばれて、可哀想なカイル」
「っ、くっ……」
「君は、私にとても美しく優しい楽器の音色を聴かせてくれた。だから、きっと彼らも「優しく」してくれる。安心して身を任せてるといい。きっと、すごく良くなる」
さっきまで温厚な喋り方だったリタ王子は、急に狂気を孕んだように、俺を見つめてくる。その恍惚とした灰色の瞳は、自分が自我を失ったスパイたちと同じ。
それは快楽と興奮の色だった。
「やっ、やめ、ろ」
うぞうぞと何本もの触手が俺の体にまとわりついてくる。
頭が狂うような甘い匂い。それが媚薬効果のあるものだと気づいた。四肢を拘束していた触手から、ぽたりぽたりと粘液が湧いてくる。それが腕を伝い体まで流れてくる。媚薬効果のある粘液は、皮膚から取り込まれ体に熱を灯していく。
触手の垂らす蜜が甘い匂いの発生源だった。
腕の太さくらいの触手から、細長い触手がスルスルと新しく伸びてきた。
俺の胸のあたりで止まった触手はぷくりと先が膨らむ。そして先が丸く変形して凹んだ。つるりとしていたはずの触手の突起部分は、先が細かなブラシのようになっていた。
この先どうなってしまうのか、恐ろしさで体が震える。
次の瞬間、二本の触手が俺の胸の先にくっついた。
「ひあっ!」
その刺激に体が震え、状態が後ろへのけぞる。
ざらざらとした表面の触手が徐に俺の乳首に吸い付いてきた。吸い付くだけじゃなくて、ざらざらの突起は充血した乳首を虐めるように擦って愛撫してきた。
経験したことのない胸への刺激に、どうにかなりそうだった。いや、もうどうにかなっている。
もっと刺激が欲しくなり体が勝手に触手を求め始めているのだから。
「ふぅ、うんん、んっんっ、ぁ」
体をくねらせ、俺は理性で触手から逃げようとしている。本能では欲しくてたまらないのに。
「どうした、気持ちいいのだろう? もっとこの子たちに欲しいと強請ればいい。そうすれば望みを全て叶えてくれる。狂い堕ちるまで」
「ひぁあ!」
乳首へ触手の先を押し付けられながら、ちゅぷちゅぷと甘く吸引されている。
「ひっ、っ、ぅ、ぅうう」
恥ずかしい声を絶え間なくこぼしてしまいそうで、唇を噛み慌てて抵抗する。けれど、抵抗しようと口を閉じたところに触手が伸びてきて唇をこじ開けられてしまった。
声を出したくないのに、強制的に恥ずかしい声を断続的に発してしまう。
立派な成人した大人の男が、まるで子猫のように甘えた声を出していた。
「あー……あっ……ふっ……ふぅ、あっ、ぁう、ふぅ…、うぅ……」
「可愛い声だね。ほら、我慢しなくていい」
「や、めっ、ぅっ、む、ね、ふっ……うぅ。んんんっっ、ぅぅふっ」
「乳首が、そんなにいいのか? それなら、私が頼んで、もっとお前を虐める手を増やしてやろうか」
「あ、あっっ、あっ、っ、やめ、くれ……ぁ、これいじょうはっ、あああっ」
「いいんだろう? 嘘を言っても分かる。床がお前のこぼした蜜で水浸しだ」
「っあああああ!」
そう言ってリタ王子は、俺の勃起から、くぷくぷと泉のように湧いてくる快楽の証を指で弄ぶ。ずっと触れられていなかった勃起に直接触れられて、頭を突き抜けるような快感を感じた。
けれど勃起の根元を触手が堰き止めているので射精することは叶わない。苦しい、出したい。いきたい、もう、逝きたい。
「やっぱり、男はここがいいんだな。ほら頑張りなさい。彼らがまだ満足していない」
「ひあっ!」
「しかし、薬を入れて、君は、まだ正気を保っているんだな? 他の男たちはここまで、持たなかったのに。精神的に強いのか、あるいは……」
「ッ、ぅ、ぁ……」
「そろそろ後ろはどうだ? 硬いのでかき混ぜて欲しくなってきただろう?」
王子に言われてハッとする。自分の勃起を根元で堰き止めていた触手が、にょろにょろと後ろに伸びて臀部を探るようについている。排泄口を彷徨っていた触手から、粘液が一気に噴き出し尻穴にかかった。触手から吐き出された粘液は体に吸収されたが、今度は、俺自身が、後ろの孔からトロトロと蜜をこぼしはじめている。もう訳がわからない。
「ぅ、あぁ!?!? あ??! え、なんで、あ」
後孔が勝手にひくひくと動いた。まるで女性の性器にでもなったかのように後ろが解けたのを自覚する。柔らかくなった穴に向かって、細い触手が一本、また一本と、うぞうぞと集まってきて、俺の穴に侵入して内側を広げていく。
「その液体は、筋肉を柔らかくする効果がある、だから痛くないだろう」
「ぅ、うーっ……ぅんん、んっんんっ」
「ほら気持ちいいだろう? 不思議だ。君はまだ堕ちないのか? 特別、快楽に耐性でもあるのかな」
「ッ、あ……あっぅ……」
頭が快楽を奔放に求めようと、欲に支配されていく。喘ぎを抑えられない。
前の勃起を手で扱きたいのに、腕を触手に拘束されていて触ることも出来なかった。たまらなくて、むずかるように体をよじった。俺はなけなしの力を振り絞って腕を動かす。
「ぅ、う、んんん、うっ、うっっ」
俺の尻穴を犯している触手は、ごつごつと腹側を押して射精を促すような動きをするのに、根本が堰き止められたままなのでいくことが出来ない。
この甘い責め苦がいつまで続くのか。永遠のようにも思えた。
自分を見下ろすリタ王子は、触手に翻弄されている俺を見て楽しそうに鑑賞しているだけ。
俺の体に触れたのは勃起に一度だけだった。
もう誰でもいいから俺を解放して欲しかった。
リタ王子が言った通り、これが堕ちるということなんだろう。
俺は情けなく涙をこぼしながら、スパイのプライドをかなぐり捨てて、リタ王子に屈していた。
「もう、たす、けて、くれ。リタ王子」
無我夢中で、俺は泣きながらリタ王子に手を手を伸ばしていた。
「カイル?」
「いやだ、もう、苦しい……やめてくれ、俺は」
さっきまで、あくどく触手を使って俺を攻め立てていたリタ王子が、きょとんとした瞳で俺を見ていた。
俺がリタ王子に助けを求めた瞬間。俺を捕らえていた両手両足の触手の拘束が、さらさらと消えていく。
一体どういうことだろう。まるで呪いが解けたように。王子の周囲に付き従っていた禍々しい触手たちは消え去っていた。
リタ王子は触手が出した粘液でどろどろになった俺にむかって手を差し伸べた。
そして、さっきまで王子が腰掛けていたベッドの上へ連れていき、俺をそこへ横たえた。
「触手ではなく、私に助けを求めたのは、君が初めてだ」
ばさりと、ベッドのシーツが波打った。
「え……ぁ」
「肛虐されて、ずっと「私」を見ていたのも」
美しい触手の国の王子さまが俺を見下ろしていた。
リタ王子の夜着が肩を滑り、シーツの上に落とされた。サラサラと長い銀髪が肩に流れる。リタ王子は、さっきまでの触手の荒ぶりを身に宿したような瞳の色に変わっていた。
「君は、あの子たちを求めないのだな。一体、どういった体の構造をしている?」
「俺、は……」
「みんな君に満足して私の身の内に帰っていたよ。では、次は私の相手をしてもらおうか?」
「ッ、あ!」
両手両足の拘束は消え、俺の体を蹂躙する触手はいなくなった。けれど俺の体から甘い疼きは消えない。まだ熱に翻弄されたままだった。
俺はされるがまま両足をリタ王子に抱えられた。触手たちの責め苦によって柔らかくなった後孔へ王子の猛りが沈められていく。
「ッ、リタ、王子! 俺! こんな……こと」
「ん、いいだろう?」
「あっ、だって、俺」
何度も奔放に荒々しく腰を打ちつけられる。その責めに目の前が白んでチカチカした。
「どうした、あの子たちではなく、私に助けを求めたのであろう? ならば、最後まで相手をしてもらおうか」
「ッ! ああっ!」
熱のない触手に責め立てられ、広げられていた後孔へ、リタ王子の熱が何度も差し込まれる。触手でいじめられているときには、苦しいだけだったのに、今は気持ちよくてたらまらに。
リタ王子に内側の弱いところを責め立てられると、不思議と体中が熱に翻弄されてしまう。
「や、あ、ああああっ、だめ!」
「不思議だな……君は私を最後まで満足させることが出来る、とても珍しい体を持っているようだ」
「なっ、あ! うっっ」
「あぁ、このまま君を、国には帰せないな。私のものになりなさい」
どうやら、この先も俺は触手の国の王子に囚われるらしい。
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