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バース転換
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――初めて、血を吸われた。
獣人同士の吸血事件なんて聞いたことがなかった。フェロモンレイプとか、発情事故は聞いたことはあるけれど、血を吸うなんて聞いたことがない。
「っ……」
自分の身体から血の気が引いていた。首筋に噛まれる痛みに、一瞬、どうしたらいいのか分からなかった。
「い、いい加減……離せよ……!!」
なんとか力を振り絞って殴りかかる。相手の方が動きは速く、殴った拳は躱される。
「一目惚れしたんで、俺の番になって下さい」
入ったばかりの新人が犬伏太郎にプロポーズをした。一方、犬伏は何が起きたのか理解が追いつかない。
「ま、待てよ……俺ベータなんだけど」
番はアルファとオメガが結ぶもの。ベータは番関係になれない。
「あ、それなら大丈夫です。先輩のバース性をアルファに変えました」
ペロリと、口を舐める新人。口には犬伏の血が付いていた。
「はい?」
冗談はやめてほしい。そんなことできるはずがない。
「僕、転生したんで能力持ちなんすよ」
犬伏さんの血、お酒臭いですねと笑った。いやいや、聞きたいのはそこじゃない。
「……転生?」
アニメや漫画の読み過ぎだろうか。初めて聞いた。
「まぁ、行動は起こせって言いますよね!」
新人はニッコリ、と笑う。すると、この場にふさわしくない華やかな匂いがした。これはオメガが出せるフェロモン。フェロモンは発情を促すオメガの特性だ。
「勘弁しろよ! つうか、お前性別偽造したな! アルファだと嘘つきやがって! それフェロモンレイプだろ!!」
鼻が敏感なせいで、頭がおかしくなりそうだった。もう、身体がベータからアルファに変化しているのかドクン、ドクン、と心臓の音が早くなる。三木猫からカモミールの匂いがした。
「同意ですよ、同意。安心してください、訴えませんから」
三木猫はペロリと、また舌なめずりをする。魅せられた赤い舌に吸い付きたくなった。
「そういう問題じゃねぇんだよ!」
嫌いな後輩なのに、三木猫を押し倒す。しっぽは痛いぐらい揺れていた。興奮したくもないのに興奮している。
「んっ……」
気づけばキスをしていた。甘い匂いが充満してくる。それでも、足りない。足りなかった。
「僕、先輩と交尾がしたいんですけど」
三木猫はズボンを下ろした。甘い蜜の匂いがする。華やかでフローラルな匂いが犬伏の判断を狂わせた。
ここは職場だと忘れて獣のように盛ってしまう。
「くそっ……後で覚えとけよ……!」
犬伏はズボンを寛がせて、三木猫に挿入する。呼び覚まされた本能に抗えなかった。
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