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蔦の妖精、山里をおりる
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暑い、最近枯れ気味だ。山里をおりてホームセンターにやってきた。目的は栄養剤を買うため。お金は落ちてるのを拾ったもので。
「くっそ……夕方にくればよかった」
そう思うほど灼熱の日差しに無駄に水分が奪われていく。帰りに公園によって水を浴びて帰ろう……。
ふらふらになりながらも駐車場を通り抜ければ車の中に童子がいるのが見えた。
横たわる姿は汗で濡れていて口を大きく開けて息を吸い込んでいる。
この中は涼しいものだと思っていた私は驚いた。なぜこんなにも死にかけで辛そうなのか。理解できなかった。
「おい、童子。聞こえるか」
コンコンと硝子をノックし、意識をこちらに向けさせた。
童子はゆっくりと瞼を開いた。よかった、まだ意識がある。目があった。それでも半月ほどの薄い目の開き。その狭き視界に私の姿は映っているのだろうか……?
私に気づいた童子は、震えながら手をこちらに伸ばしてきた。
「助けを求めているのか?」
童子は涙を流した。ゆっくりと瞼を閉じて。
ーーガッシャーン!!!
本来なら、このような目立つ行為はしない。だけど無視することは出来なかった。
硝子を蔦で叩き割った。この硝子は丈夫だが蔦の量を増やせば割れる事を知っていた。よく山でこれを捨てて行く輩がおったから。暇潰しに壊して遊んでいた。
「なんだ……この熱風は」
この中は決して涼しくなかった。私がいる場所よりも、この中の暑さの方がかなり上だ。
シュルシュルと手から蔦を伸ばして童子を開いあげる。童子は無意識に蔦をつかみ、水分をとろうと喰らいつく必死に命を繋ごうとしていた。
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