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交尾ごっこ
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「おにーさんも若いうちに交尾ごっこしていないと、女のコと恋愛できないよ~」
急に声をかけられて白衣を後ろから引っ張られた。八津又(やつまた)洋人(ひろと)は立ち止まる。
「煌海(こうが)、交尾ごっこってなんだ?」
かつて海にいたと言われるイルカの先祖返りの煌海。兄弟の碧海(おうが)と違ってよく洋人にちょっかいをかけてくる。一方でおとなしい碧海は煌海の後ろに隠れていた。
「そりゃあ、かつていたイルカの習性。オス同士でメス役を決めてセックスして社会性を学ぶ……ってか、研究者の八津又さんなら知ってるでしょー」
煌海はニヤニヤと笑い洋人の反応を楽しんでいる。
「兄弟でもするのか?」
後ろに隠れていた弟の碧海に目線をやれば、ちゃぷん、と潜って水の中に消えてしまった。
「やぁーだあ、八津又さんセクハラぁ!」
バシャリ、と煌海は尾ひれでプールの水をかける。
「最初に聞いてきたのは煌海だろ」
洋人はかけられた水を白衣の裾で拭った。どうせ、口だけでからかっているだけに決まっている。適当に相槌を打って受け流せばいい。
「だーかーら、俺は八津又さんを心配してんの! いい年して彼女いないし、ずーっと研究所にいるし、色白で不健康そうだし、研究以外に楽しみ持たないと!!」
人外に社交性を説教させられた。それほど、僕は社会不適合者なのか。
「別に構わん。人それぞれ楽しみ方は違う」
「じゃあさ、俺と交尾ごっこしたら新たなデータをゲットできるかもよ?」
洋人はかつていたと言われるイルカの調査をしている研究者。海に住んでいた生き物の先祖返りである水族(すいぞく)のなかで、煌海と碧海はイルカの先祖返り。煌海によって生み出された好奇心にあらがえる研究者は少ない。
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