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一歩手前という事は、まだ異世界には行けてないのか…
こう、ホイっと異世界に連れていかれたとかならよかったのに…なまじ戻れるかもしれないと思うと…
「え、じゃあ一回家に戻ったりできます?」
心の準備はしたいじゃない?…それに帰れなかった時の為に恥ずかしい物の証拠隠滅とか…ね。
ーーー1回戻る、という事はこちら側にまた来ようと意思はあるのだな?ーーー
え、だって面白そうだし…なんて言ったて異世界とか小説読みまくってた好物だしね。
「会社とか色々あるので、このまま帰れなくなると都合が悪いから、一度戻りたいだけです」
まともな理由を言ってみたけど、内心は部屋に散乱している、怪しい本の処分がしたいとか…邪な心しかありません。
ーーー目的があって、お前を呼んだのだ。目的を終えれば帰る事ができる。それも今と変わらぬ時間.容姿のままでなーーー
帰れるならよかった…と思う反面
それは、簡単に言うと今は引き帰させてもらえないという事ですかね?遠回しな言い方は辞めていただきたい…
それに、今は仕事着と財布と鞄しか持っていない…丸腰も良いところだ。
暫く返事をせず、考えをまとめていると痺れを切らした向こうが声をかけてきた。
ーーーお前には無理に異世界に来て貰うのだから、恩恵もつけようーーー
ん?恩恵??
それは、都合の良いように考えてもいいですかね?!
ーーああ、都合のいいように考えてくれていぞ。思うがままの願いを五つ言うと良いーー
「ん?あー…、出来れば心を読んで欲しくないのですが…」
ーー…すまない、無粋な真似をしたなーー
「いや、もう読まないで居てくれるなら気にしません…邪な心だらけなので…」
ーーああ、少し読んだ時にお前の趣向は把握したーー
「!?」
隠れオタクで、隠れ腐女子な私には耐えられない発言をこの方はしましたか!?
把握しないでほしかった…あぁ…無いわー
ーーー…勝手に読み取ってすまない…ただ願いを聞くにはその方が早いかと思ってだな…ーー
余りにも落ち込んだ様子の私に気遣ってか謝る相手に、偏見とかはないみたいでよかったと安堵する。これで、蔑むような言葉をかけられたら泣いちゃう所だったよ。
「ちなみに、今はもう心…読んでないですよね?」
ーーもう、していない。心配するな、今後しないよう気をつけるーー
よかった…
ーーそれでだな、腐女子のお前は男同士がちちくり合う世界がいいとーー
「是非にとも!」
開き直ってしまえば、こっちのものです。
「で、できれば私も男にして頂きたいです!あと、容姿も…」
ーー容姿も?ーー
「かっこよく…頼れる男!な姿がいいです!」
ーー恰好良くなくても良いのではないか?今のままでも、可愛らしい体型じゃないかーー
「喧嘩売ってんですか?」
ーーいや、我は嫌いじゃないぞ。その美味しそうなプニプニ感ーー
「…喧嘩、売ってるんですね。中々コンプレックスをつついてくる…」
できれば、美形で引き締まった体つきになりたい!この体型のまま男になったってつまらない。
美形なら、しなくていい苦労とかも回避できそうだしね。それに、いざという時に守られるのだけでは嫌だし。
ーーそう、めげるな。わかった、かっこ良くて、頼れる男前な男だな。…他には?ーー
ドラ○もんみたいな、四次元ポケットが欲しいけど、チートすぎると今まで読んだ小説だと大変な目に沢山あってるから。
向こうで死んじゃったらやだから、死なない身体とか?
それなら、多少の無茶も出来るってもんだ。
「死なない身体とか、お願いできたらいいなーとか…」
ーー…そうだな、不死身とはいかないが、驚異的な回復力なら授けられる。首を切り落とされたりしたら死ぬから気をつける事だーー
「じゅ、十分です!」
チートだけど、戦闘にならなきゃ、ばれないしね。
ーー1、男になりたい。2、容姿端麗で男前。3、男がちちくり合う世界。4、驚異的な回復力
…残りの一つを聞こうか?ーー
こまる…案外思いつかないものだ…
主に向こうに行って困る事と言えば、金銭面とかだと思う…でも、嫌らしい話になるなと思い言うのはやめていたけど、いいかな?
「…お金とか?」
ーーふん、もっと始めに金銭面の心配をしたらどうだ?…却下だーー
「えー!何でもっていってましたよ!?」
ーー金を与えると、使命を全うせずに遊びほうける輩が今まで多かったからな…だから却下だーー
「それは、まあ、しょうがないですけど…」
ーー魔力などはどうだ?役に立つぞ?ーー
「嫌です。だって下手に強いと戦闘に駆り出される」
ーーお前を私の世界に呼ぶ理由には、戦闘が絡んでくるんだが…ーー
吐血…
「ま、魔法…」
ーーまあ、前線ではないがなーー
「支援・防御魔法特化した人でお願いします」
よかった…下手に攻撃魔法とか使えるとトラブルに巻き込まれる気がする…
ーークスクス…わかった。最後は魔法だな。…お前を送る前に伝えておく事があるーー
「はい、もう何でも聞きますよ」
ーーそう投げやりになるな。でだな、私の世界では私は干渉ができない…助言は出来ても手はだせないのだ。そんな中、厳重に隔離していたはずの魔王の卵が盗まれてしまったーー
「魔王の卵?」
なんですか、その可愛らしい感じは。
ああ、でもやっぱり魔王絡みなのですか…
ーー卵といっても、魔力は凄まじい。濃縮された魔力が殻の中に詰まっていて、普通の人間では触る事もできないぐらい瘴気が漏れていたのだ。…だから我は国に命じた。ーー
長い説明になりそうだが、自分の今後の運命に関わる事なので真剣に聞くが…厨二な話だなぁ…
ーー名のある剣豪、魔術師などが集い、学園を建てた【王立シシリア学園】に卵を匿ってくれと。学園長の側が1番安全だと確信があったからなーー
「え、でも盗まれちゃったんですよね?」
ダメじゃん園長
ーー流石の名君も、老化には勝てなかったのでな…ーー
ごめんなさい、顔も知らない学園長!おじいさんだったのか。
ーーちょうど、学園長が亡くなる瞬間、厳重に監視し保護魔法も重ねていた魔王の卵に一瞬だが隙ができた。ーー
学園長が施していた魔法がきれたのか。
ーー気づいた時には遅く、無くなっていた。慌てて学園の先生達で学園周辺に広大なバリアを巡らせた為、外に持ち出された様子はないーー
「バリアーを貼る前に、逃げ出したんじゃないのかな?」
あり得ない話じゃない。
ーーいや、外には持ち出されていないーー
「断言できる、理由を教えて下さい。いまいち私には理解しずらくて…」
ーー…盗んだ輩は直ぐに捕まったのだよ。ーー
なら何故私が呼ばれる?
ーー魔王の卵に最悪な呪いをかけてなーー
少し、顔は見えないが声音が弱々しく聞こえた。相当、厄介な呪いなのかな?
ーー我の世界の住人には、さわれぬ様に呪いをかけたのだ。それも孵化を早める呪いも一緒になーー
「え?それって…」
ーーああ、魔王の誕生が目当ての犯行だったようでな…ハァ。頭が痛い話だが本当に触れないのだ。解除の呪文も受け付けず…ただ魔王の子が産まれてくるのを見ている事しかできない…ーー
「え、魔王が産まれるんじゃなくて、魔王の子が産まれるんですか?」
上手く頭の中で整理したいが、色々な情報が入ってきすぎて何がなんだか…。
ーー魔王自体は、前の勇者召喚の際に討伐されたんだが、殺られる寸前に魔力を、卵に変換して子をなしたみたいでな…討伐した勇者がその卵を壊そうにも凄まじい瘴気すぎて、壊せなかったのだ。勇者は魔王の卵を孵化させないよう、時を止める魔法をかける事しかできなかった…ーー
「あーと、分かりました。上澄みぐらいは理解ができたかもです。で、もしかして盗んだヤツがかけた魔法の、あなたの世界の住人はって事は…」
ーーああ、異世界の者なら触れる。それも、我の恩恵付きだからな。だだ漏れの瘴気にも強く、それに今叶えようとしてる願いの一つに死ににくい身体もセットだ。問題なかろう?ーー
あ、ありまくりですよー?!
私に、その魔王の卵の孵化を止めろって事だよね?あ、でも触って魔法かけるだけか…思ってたより楽じゃないか??
ーー我の世界で起こった不祥事に巻き込む事も忍びないのだが、お願いできないだろうか?ーー
案外簡単そうな内容だし、それに男になれる…あとちちくり合い…
用事を済ませて、BL観賞に勤しもう!そうだ、そうしよう!
「いいですとも!」
ニコヤカな笑顔と共に返事をすると、目の前に真っ黒な四角いドアが現れた。どこで○ドアじゃないが…色違いのそれみたいですけど。
ーーありがとう、優しいお嬢さんーー
ドアを開け、中に入ると優しげな声でお礼を言われた。
くすぐったい感じがして、照れ臭そうに「気にしないでください」と言うとドアを閉めるために手を離した。
ーーああ、それと謝っておかねばなーー
閉まる間際に、何なんだ?
もう数センチで閉まるぞ。
ーー願いに含まれていた男同士の恋愛だが、あれは我の世界では常識だ。ーー
パタンーー
願い事が一つ、勿体無い事になりました。
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