アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
目の前まで来といて、入りたく無いと言われましても…
えっと…っと答えに困っている間に使いに出されていた騎士が戻ってきてしまった。
「神官長様より、奥の間に通すよう言伝を承りました」
教頭に対しキリッとした声で伝える騎士に、わたしの手を握る魔王の力が強くなった。
「ま…この子を連れて行かない選択は…」
魔王と呼ぶのは騎士達の前では駄目な気がしたので言い直す。まだ産まれているのは知ら無いと思うし、もしもの時のためにね。
嫌だと力を込める魔王に、これから行く所に連れて行くのが可哀想に思えた。連れてかない選択は無いか聞こうと思ったら
ギロッ!
「…無いですよねー。ハハハ…」
アル君に物凄く睨まれました。
「では、中へどうぞ」
そう言って神託の間と呼ばれる建物の扉を騎士の2人が開けてくれる。
なんだろ、一気に周りの空気が綺麗になった気がする。いや、元々臭いとか思っていた訳じゃないのだけど…爽快感?そんな物が中から感じる。
「最悪な空気だな」
隣で呟く魔王は私とは真反対の意見だった。
魔族からみたら神様は敵なんだろうな、きっと。
「さぁ、ユウ君達行こう。その子も、一緒に行くんだよ」
お茶目にウインクしながら言う教頭はその子の部分に少し力が入っていた様な気がする。
あ〜、魔王が本気で渋ってるのが他人から見ても分かるよ。
ごめんね?けど、呼ばれたもんはしょうがないし少しぐらい我慢してね。
「…嫌かもしれ無いけど、私は中に用事があるんだ。一緒について来てくれないか?」
私の本音と建前を混ぜながら申し訳なさそうに腰を屈めて目線が近くなる様に言うと、魔王はチラッと此方を見た。
はうツ!
少し目が潤んでるんじゃないのあなた!所構わずショタってんじゃないよ、お姉さん悶え殺す気?
赤い大きい瞳がさっきより潤っていて、一層色味を濃くしていた。
「……ユウが言うなら別に行ってやってもいい」
ぐっと我慢した様に言う魔王は、本当にこの子悪い事するの?って思うぐらいには健気に見えた。
えらいな…っと思い頭を少し撫ぜる。
撫でられた事に嬉しそうに目を細める魔王は天使だと思いました。
いかん、ほだされる…。
今から神様に丸投げしようとしてるのに、何この庇護欲。
私が内心色々な事を思って葛藤しているというのに魔王は首を少し傾げながらトドメを刺してきた。
「その代わり僕の手を絶対離すなよ?」
イエス・ユア・ハイネス!!
この日私は顔は穏やかに、頭の中で絶叫するというスキルを身につけました。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 21