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「僕は今も昔もお腹が減ってるだけなのに。食べ物を食べて何が悪い」
私から視線を外すと、未だモゴモゴ言っているアル君を見据えた。
魔王の身長は膝をついていても視線が一緒になるぐらい小さい子なのに…何だろうこの圧倒感。
もう一度魔王が手をふると、アル君の口がパッと開いた。
「ぷはっ…ッ!馬鹿か!人間を食べたらどう考えたって悪いだろうが!」
急に開いた口にあくせくしながらも、自分の意見をしっかりと述べる所は私好きよ。
何より美少年で気が強いとか…大好きですよ?
「人間…か。丸ごと食べないと栄養にすらならない下等な家畜だった記憶はあるけどそれを、悪い事だと認識していた記憶も無いし、僕もそう思ってる」
人間を家畜と一括りにした言葉に耳を疑った。
「僕には人間は食べ物に見える」
今度は私の方を見ながら言うてますけど…え?
これは私、精肉される前の豚の気持ちを味わっているんですか!?
なんだろ、知らないけど勝手に体が震えだした。
「私は食べ物?」
なんとか振り絞って出した言葉はなんとも情けない。
さっきの涙目も相まってもう、そのまま泣くぞ。
そんな状態の私に魔王は顔を寄せると、私の目尻の涙をジュッと吸った。
そう、ちゅっとじゃなくてジュッとだ。
反射的に手で押し返そうとするけど、やっぱり魔王には敵わなくてされるがままになってしまった。
「所構わず美味そうなご馳走を出してくれるな。……我慢が出来なくなる」
涙吸われたのなんて初体験だわ、目の奥の水分まで持ってかれるんじゃないかってぐらいの吸いも初体験だわで…もう何に驚いて良いのか分かりません。
周りの人達も静かだし、あぁ…これはドン引きされてるよ絶対!
私は別に気にしなくてもいいのか?魔王が勝手にやってるだけだし、抵抗したけど無駄に終わっちゃったし。
今の状態は何がどうなってるのかと、目を白黒させていると
「それにユウは家畜じゃない」
私の手を握りながら魔王はそう言ってくれた。
なんだろ、今まで前魔王に食べられたであろう人達に悪いと思いながらも少し嬉しさが込み上げた。
「僕の妻だ」
嬉しさがこみ上げて、冷や汗に変わった瞬間だった。
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