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直也の場合
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1限目が終わってすぐ、にこにこしてる秀丸と共に教室を出た。
まずは1-1、直也のとこへ行く事に。
教室に着き、後ろのドアから2人で教室を覗き込み、ボソボソ喋りつつ直也の姿を探す。
「…よその教室ってなんか新鮮よな。」
「なんとなく緊張するんだよなー…」
教室をぐるっと見渡したけどおらんなぁ?って思ってたら背後から声を掛けられた。
「………何かご用ですか?」
「「うおっ!」」
「…驚き過ぎですよ、」
やれやれ、って感じで呆れられた。
なんか…最初とキャラ違いすぎやない?
あないニコニコしとったのに。
「直也、素でおるようになったんや?」
「………なんです、変ですか。」
「ムスッとしなや、逆逆…こっちのがええ」
「……………煩いです。で、ご用件は」
「ふふ、耳真っ赤w」
言うと、つーんっとそっぽを向いてしまった。耳は素直やのになぁ…w
そういえば秀丸は、と思ったら
「ん"ん"ん"……ッ」
と口元を押さえ悶えてた。
…萌えたん?直也に触れてもないけど…?
「あっ、ごめ、ポッキーはい!続けて!!」
「お、おう……?」
…幸せそうで何よりです。
胸元に押し付けられたポッキーを開け1本取りだしてると、直也にじと目で見られる。
「ポッキーゲーム、知っとる?」
「お菓子メーカーの策略でしょう。」
「…なんでも楽しまな、おもんないで?」
「余計なお世話です。」
「捻くれてんな〜…まぁ折角来てんししよや、先に離した方が負けな?
勝ったら何かあげるから…じゃあ、ほい。」
「やるとか言ってないんですけど…」
スタートって意味を込めてポッキーを咥える。
ちょ、俺だけ咥えてるとかまぬけやんww
早よ来て…と思いじぃっと見つめると、直也は乱雑に頭を掻き
「…あーもう、」と俺に一歩近づいた。
俺よりだいぶ背の低い直也は、ガッと俺の頭を引き寄せるといきなり、
俺の口らへんのポッキーを齧りに来た。
端からくるもんやと、思ってたのに。
「…っ、」
突如詰められた距離に思わず離れると、
残ったポッキーを食べきり
唇を舐めニッと不敵に笑う直也が。
「…僕の勝ちですね、瑞希さん?」
そう言い放った直也はイキイキしてて。
「さて、何を頂きましょうか…?」
なんて言いながら手を俺の頬から顎へと滑らすから、不覚にもドキッとしてしまう。
この空気どうしたええねん……!?
内心大焦りしてると、直也はハッとした表情を浮かべた。
そのまま思案顔になり、俺から手を離す。
「……やっぱり何もいりません、」
感情を押し殺したような表情で、声で、
「もうすぐチャイムが鳴りますよ。」
でもすぐ空気を霧散させるように微笑んだ。
「…暇なら奏に会いに行って下さい。あの子はすごく瑞希さんを…慕ってるんですから。」
どこか儚く脆いその笑顔はとても綺麗で、
「…授業の準備もありますので、これで。」
泣きそうになるくらい、寂しかった。
席に着くため離れていった直也を、
「…瑞希、行こう。」
「……あぁ。」
俺は、何も言えんまま見送った。
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