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「ぅえ!?」
驚いて声のした方へと振り向くと、そこには二人の男子生徒が丁度階下から階段を上がってくる途中だった様。
その一人が階段を上がりきると俺の前へと立ち、見下ろしてくる。
少し明るめの茶髪の少年。にこやかな笑顔が印象的だった。
「大丈夫、似合ってるようちの制服」
「え?」
「違うの? 鏡とにらめっこしてたから制服が気に入らないのかなって思って」
「あ、あぁいや、別にそう言うわけじゃ……」
うげ、いつから見られてたんだ!?
鏡の前でくるくると回ってニッコリ笑う人間なんて他から見たら異様に見える筈だ。
き、気持ち悪いって思われたかな……。
ドキドキと緊張に胸を高鳴らせていると、少年は以外な言葉をなげかけてきたんだ。
「一年? 見ない顔だけど」
「うぇ!? あ、は、はいそうです。明日から一年三組に転入します門田翠(かどたすい)です」
「僕は不二周助。あっちでじっと見てるのは河村だよ。同じ三年」
「はぁ、よろしく……お願いします。不二先輩、河村先輩」
不二と名乗った少年と少し後ろで俺を見てた男子生徒にもペコリと頭を下げた。
ふと、彼らの手に見知った荷物をみつけ「それ……」と指を指す。
「ん?」
「不二先輩と河村先輩テニスやってるんですか?」
「あぁうん、そうだよ。君もテニスするの?」
「はい、ちょっとだけ……ですけど」
なんてのは嘘。本当は結構やりこんでたりする。
と言うのは親父が元プロテニスプレイヤーだった事もあってか、俺も気が付けばラケットを握らされていたからだ。
生来の負けず嫌いなだけあってか、親父をライバル視してたらいつの間にかそこそこ基礎は出来る様になってたっつーか……。
「男テニですよね? 今からですか?」
「うん」
「見に行っていいですかね?」
俺のその問いかけに、不二先輩と河村先輩は一瞬互いの顔を見合わせる。そして苦い笑みを見せたんだ。
「別に大丈夫だと思うけど……」
「門田さんだっけ。君、人垣って平気かい?」
「は?」
人垣? 何それどういう意味だ?
意味が解せず首を傾げていると不二先輩が「まぁ論より証拠だよね」と頷いた。
とりあえずついておいでと促す二人に連れられ、俺はテニス部のコートへと向かった。
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