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走りたかった男~R18腐二次創作弱ペダ金荒
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大学対抗の新人レースは新開、福ちゃんのワンツーフィニッシュだったそうだ。
出たかった。
勝ちたかった。
まさかこの大事な時期にこんな重病にかかるなんて。
鏡の中には異形の自分。
こんなにひどくなるなんて。
おまけにひでえ痒み。
死にたくなるほど。
そしてかきむしれば血が出る。
傷痕が残る。
ますます異形になってしまう。
悲しみ。
怒り。
焦り。
怒り。
やたらに怒りが募る。
いっそ出て行って、周りじゅうにうつしてやろうか?
ベッドを起き上がりかけた時、力強い手が俺を引き戻した。
「弱い頭の中にある考えは丸見えだ。うろうろするな」
再びベッドに仰向ける。
俺からうつって出場資格を失った。
水疱瘡。
ガキの病気。
ガキの頃になっとけばへっちゃらなキホン。
なりそこなって、今なって、あろうことか同室者にうつして重篤化させた。
そうなんだ。
俺より重くてまだ起きれない。
新人レース、潰した…
「勝たせとけ。今だけだ」
え?
「俺らが普通に出場すれば、誰も俺らに追いつけない。だから気にするな」
金城が笑う。
斑点と塗り薬だらけ。
俺からうつった水疱瘡。
俺の不注意は金城から、大学新人王の座を奪った。
また借りができちまった…
「来い」
金城が、小声で呼ぶ。
「こういうときこそ二人でしかできないことをやるべきじゃないか」
「金城…」
グラサンをしていない、生の金城の瞳は、つぶらで、澄んで、奥深い。
吸い込まれそうな気分になる。
金城…
唇まで二ミリのところまできたところで、ガラガラガラッ、病室の引き戸が開いた。
「おーっすガキども。差し入れだぞ!」
田所製パン御曹司が、差し入れ抱えて入ってきた。
間一髪、距離を取ることには成功したが、パン屋はガハガハ大笑いした。
「二人とも完全バケモンだな。美男が泣くぜ」
「誰が美男だ!」
「金城だ」
俺は言葉を失った。
そして赤面した。
それを見て金城が吹き出し、田所が続いて噴き出した。
「俺は自分のこと美形とか」
『思ってない』とわざわざ続ける愚。
気づいて俺も噴き出して、俺ら三人しばらく大爆笑だった。
ちなみに田所は、三歳でちゃんと済ませ、抗体値もしっかりあるそうだ。
完
※ 大人になってからの水疱瘡は重篤化しやすいそうですから、みなさんもお気をつけて笑
麻疹、風疹も大変ですよ☆
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