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眠る恋人~腐二次創作弱虫ぺダル東堂/悠人目線
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峰が山ではアイツに負けた。
箱根山中では俺が勝った。
いつもいつも競り合って、競い合って競りあってここまで来た。
大事なライバル。
大好きな仲間。
そして、俺は知っている。
巻ちゃんはあす日本を出る。
誰も知らないこの事実を、実は俺は知っている。
知っているのだぞワハハハと、高笑いしてやりたいが、出来ない。
そんなことをしたら泣いてしまう。
門出に涙は不吉だと言うではないか。
だから俺は…俺は…
箱根山の頂きにリドレーとTIMEを停める。
草地に下りて、二人で坐る。
俺は坐る、だったが、巻ちゃんは膝から崩れる、だった。
バタアン! と勢いよく、顔打つほどの勢いで、前のめりに倒れた。
「もう無理ッショ!」
「老いたか巻ちゃん」
「老いた老いた。オメェとニ度と競わねェで済むんなら赤チャンチャンコでも何でも着るっつの」
「そんなに俺と競うの嫌が巻ちゃん…」
少し涙目になる俺を、巻ちゃんは妙に優しく見た。
「嘘っショ」
ずっと走っててェ、ずっと競っててェよ。
瞳は間違いなくそう言ってる。
言ってた。
言ってた…
「だからそういうライバルを、おまえたちも持つのだ。わかったな?」
したり顔の東堂さんを実は誰も見てなくて、真波さんは寝てる、黒田さんと葦木場さんと僕は写真選んでる。
写真の人物はもちろん泉田主将。
各々うまく撮れたの持ち寄って、いちばんかっこいい写真持ってきた奴が昼メシおごるのだ(逆とも思うが。結局自慢だから良いのか?
てゆーか葦木場さんは泉田さんをどう思ってんだ?
もしかして…こいつもライバルなのか?)
てなわけで、誰も東堂さんの話を聞いていない。
だが東堂さんの目の中には、その日の風景があるらしい。
少し会話してるうちに、草地に頭をつけて眠ってしまった巻島さんを、東堂さんは愛しく、愛しく思ったに違いない。
目にキスのーつもしたかもしれない。
今は遠い異国にいる巻島さん。
東堂さんがこの世で唯一ライバルと認める男。
今夏は雪辱戦になる。
俺たちは、やる。
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