アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お茶マニュ届く~二次創作弱虫ペダル坂道家
-
赤マニュのとなりに緑マニュを置いた。
黒マニュばかり集めてた僕が嘘のようだ。
最初に寒咲さんが。
次に今泉くんが。
鳴子くんが杉本くんが先輩さんたちが…
そして真波くんが。
いつの間にか全国各地から、ご当地マニュが送られてくるようになってる…
広島からはもみじマニュ。
鹿児島からは桜じマニュ。
それから…
「坂道~」
「あ、はい」
母さんの声に呼ばれて下へおりると、
「!」
母さんが、母さんと、殆どおんなじ大きさのお茶マニュ抱いてる!
「どしたのそれっ! お茶マニュってことは…静岡…金城さんっ!?」
「坊主主将さんじゃなくてほらっ、初めての試合のときにほら、ライバルだった青チームの」
両目をぎゅーっと横に引いた。
「ボケナスっとかいう人」
荒北さんが近くまで?
「どこで? どこに?」
「すぐそこの、ポストのあたりで…坂道っ!」
お茶マニュ抱いたまま表へとび出す。
右っ!
左行って右!
ポストの上にベプシの空ボトルがあった。
来たんだ…
僕はお茶マニュをぎゅっと抱きしめた。
思い出す。
待宮さんの仕掛けに巻かれて協調から引き剥がされたあの夏。
それでも金城さんたち守りたくて、集団の人に協調言って、みんなヘトヘトで誰も乗ってくれなくて。
どうしよう、どうしようってなってたときに抜き去ってった風みたいな…
協調してください!
やだねっ!
平坦でど遅いクライマーなんか引けっか!?
僕は金城さんや今泉くんに、あの人たちを近づけたくないんです!
おまえにはフクちゃんのことどう映ってる?
じゃあ俺は。
俺のことはどう映ってる?
荒北さんは…
あの夏、僕のまわりには、熱くて強い人たちが、ほんとにいっぱいいたんだな。
改めて、お茶マニュ抱きしめる。
身うちがひきしまる。
二度めのインハイ、もうすぐだ。
もうすぐだ。
***
金城の車の後部座席から、マニュ抱いて去る坂道見送る。
「会って話さないのか」
「るセっ。いんだよこれでっ」
斜に構えてみるがふと思う。
「おめえこそ激励しなくていいのか」
「改めて言うことはない。あいつはやるときには必ずやる男だからな」
「…確かにな」
目上げて。
まっしぐら。
人百倍のケイデンス。
怖くて怖くて、いまにも食べられそうな人です!
細っこいのにやるんだよなあいつ…
「出すぞ」
車が坂道追い抜いてく。
茶マニュがでかすぎて、陰になった坂道は俺らに気付かない。
それでいい。
おまえは前だけ向いていけ。
頑張れ。
一瞬黒田も泉田も忘れて、俺はやつを応援してた。
バックミラ一の中の金城の目が笑ってる。
俺はケッという顔しながら、心の中でもう一度呟く。
頑張れ。
大っ嫌いなその言葉を、俺はあいつに餞(はなむけ)てる。
気付いてロの端でわらう俺を、金城がミラーごしにまた笑う。
もう坂道の姿は見えない。
Aさん。
お誕生日おめでとうございます。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 98