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耐えて
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本当に自分がバカみたいだ。
阿呆らしい。
きっと心の何処かで自惚れてたんだろう。
面白がられてるだけなんて考えれば分かることだ。
生徒会室を飛び出してからは何も覚えていない。
ぼーっとしながらどこかも分からないまま廊下を歩いていた。
ふと窓の外を見れば体育館が見えた。勝手に足はそこへ向かおうとしていた。
「「「お疲れ様っしたー!」」」
体育館の中から挨拶が聞こえビクッとしてしまう。練習が終わったみたいだった。1人2人と中から人がでて来てそのうちゾロゾロと集団で何人かの人達が出てきた。そのまた少し後くらいに翔も姿を表した。
「うお、びっくりした。理央、どーした?行って来た?」
「…ん?訊いてない…」
思い出して泣きそうになるのをグッと堪えた。
「なんだー、訊かなかったのか」
「うん、でも、なんか分かったよ」
「?」
訊かなきゃよかったって思ってるし訊いちゃった事、その返事を聞いた自分の反応。それで気付いてしまったんだ。
「多分俺、浩志の事好き…だ」
「……」
「翔の言うとおりだったな」
「そっか…ほらな?俺は応援してるし、そのうちくっつくだろ」
「…あぁ」
そのうちも何もないだろ。俺はさっきあいつの気持ち知っちゃったんだから。
でも翔には言えなかった。変な事で心配も気遣いもさせたくなかった。それが今の俺の精一杯できる事だった。今ここに来てる事自体が甘えだなんて分かり切ってるけど、それでもこれ以上は翔に頼れなかった。
甘えすぎって、翔は言ってた。でも甘えんなとは翔は絶対に言わない。だから俺は尚更翔に甘えてしまうのだ。多分それを翔は分かってて俺にそう言ってくるんだ。
だからこれ以上は心配かけちゃダメなんだ。
浩志への気持ちを気付いた今、この感情についてもう自分に嘘は付けないけど、結果としてはもう決着がついている。このまま気持ちが勝手に風化してくのを待とう、そう思った。
「雨降りそうだしさ…帰るか」
「…うん」
ポンポンと頭に手を置かれた。
涙が出そうになるのを必死で堪えて翔の後を着いていった。
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