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与えられた喪神
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「………」
「理央ー、行かなくていいのか?」
「………」
「会長様も熱心だよなー、相当理央がお気に入りなんだな」
「……違うって」
お気に入り……その言葉が更に気持ちを重くさせる。
「失礼します……先生、お腹痛くて…」
「おー、大丈夫かー?……つーわけで、理央ベッドから出ろー」
ガラガラと保健室のドアが開く音がして体調の悪い生徒が入って来たみたいだった。
のそりとベッドから出る。
「お前は生徒会室でも行ってこい」
「……うざ」
「はいはい、口の減らねぇガキはさっさと出てけー」
半ば追い出される形で保健室を出た。
……生徒会室…。
行きたくもない…。
行きたくないのに、呼び出された事への妙な不安と期待が俺を支配していた。
「失礼…します」
いつもよりノックも声も控え目になってしまった。このドアを開けたら浩志がいるんだ、そう思ったら中々開けれなかった。いつもドアを開けたらニヤニヤ顔で俺を見て理不尽な事ばっか言ってくる。それでも嫌な気はしなかったのはきっと俺は浩志が好きだったからだ。
意を決してドアを開けた。
昨日の事なんて何とも思ってないだろう、そう思ってドアを開けたのに、
「え……」
控え目に開けたドアの向こうを見て、驚きの声が漏れてしまった。
部屋の奥、会長用の机の前で浩志と誰かが抱き合っていた。
目を疑う光景に何も動けなかった。自分の周りだけ時が止まったように。
浩志が此方に背を向ける形で誰かと抱き合ってる為相手が誰か分からなかったが、その相手が浩志の首に腕を回した時にその顔が見えてしまった。
「…っ」
ニヤリとしながら俺の方を見てくるのは、笹原だった。浩志は笹原の腕を払う事もなくそのまま笹原の腰に腕を回したままだった。笹原は舌を出しながら俺を一瞥した後そのまま浩志の顔に自分の顔を近付けた。
もうそれ以上は見てられなかった。
ドアを思いっきり開けそのまま飛び出した。
頭の中は真っ白だった。
視界がボヤけようがお構いなしに走った。
外では雨が降り出していた。
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