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雨天
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正面玄関まで来たら疲れてしまった。もう授業に出るとかそんなのどうでもよかった。何も考えずにそのまま学校を出た。どんよりとした雲がかかっていた空は今はもう真っ黒になり大粒の雨が降っていた。
「…バカじゃん俺、本当馬鹿」
はは、と渇いた笑いを零し、雨に打たれながらながら校門を出ていこうとした。
「おい!」
「っ?!」
校門を出たところで腕を掴まれた。雨に濡れた制服の袖が肌に張り付く感覚を覚える。
「お前……雨降ってんだけど」
「かけ、る…」
俺の腕を掴むのは翔だった。
「どうしたんだよ…」
「どうしたはお前だよ。午後の授業あんだろ?あと、こんな雨の中傘差さないとか…馬鹿なの?」
「………」
「…理央…何があったんだよ」
力強く握っていた腕からフッと力が抜けるのに気付く。翔は俺の肩をそっと優しく掴むと俺に目線を合わせるようにかかんでくれた。
「っ…俺、俺さ…っ」
雨か涙か分からないくらい顔はびしょ濡れでぐしゃぐしゃだった。嗚咽が止まらず上手く喋る事もできない。
「ちょっとこっち来い」
「う、ん…」
肩を抱きながら雨が当たらない軒下に連れてくれた。
「俺さ、本当は…昨日、訊いたんだ浩志に」
昨日あった事からさっきの出来事を全て言った翔はその間も黙って聞いていてくれた。泣きながらだから訳わかんなくなって言ってる事もぐちゃぐちゃだったと思う。それでも翔は聞いてくれた。
「…理央」
「うっ…くっ、翔ぅ…っ」
翔の腕が俺の背中に回って来た。ボロボロと涙は止まる事はなかった。翔のシャツを握りしめた。
俺はきっと心の何処かで期待してたんだ。期待してる分だけ失ったモノは大きくて。それだけいつのまにか浩志の事が好きで好きで堪らなかったんだ。馬鹿だな、こんな気持ちなのは俺だけだったんだ…。
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