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旅館ならでは
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「失礼いたします」
露天風呂から上がり休んでいた俺達の元に運ばれてきたのは色鮮やかな魚介類が盛り付けられた皿、旬の野菜を使った懐石の数々。目を瞠る料理の数々に4人共口を開けるしかなかった。
仲居さんが部屋から出ていくとワッと騒ぎ出す。
「すごいな!刺身!!魚の頭ついた盛合せとかリアルで見るの初めて!」
「いい匂い…」
「義明はいつもこんなん食ってんだろ?」
「いや、俺んち飯はいたって普通だよ」
「へー」
「理央、この刺身とかなら食えんだろ」
「お、おう…」
翔にまた無理やり食わされた……。とは言え今回の料理はとてつもなく美味かった。久しぶりにこんな量食べたかもって言うくらい食べれた。
しばらくすると前田が急に立ち上がり部屋を出て行った。なんだなんだと3人で話していたがトイレにでも行ったんだろと放っておいた。
「いえーい」
「なんだよ、トイレでも行ってたのかよ」
「違う違う、いやトイレもなんだけど、これこれ。じゃーん!」
部屋に戻ってきた前田が手にしていたのは4つの銀色の缶だった。まさかな、まさかとは思うけど。
「おい、それ…」
「うん、ビール」
「はぁ?!」
「いやー、トイレ行ったんだよ、そしたら自販あってさ買っちゃった」
「何が買っちゃった、だよ!!」
倉沢が物凄い勢いで前田に話す。
多分前田の事だ。ノリで買ってきたんだろう。それにしたって研修旅行先でバレた日にはそれはもう面倒な事になるだろうな。
「ここに来るまでひやひやしたよ~」
「バレためんどくせぇことになんだぞ?」
「大丈夫!ばれなかったし!優木と井下も飲むよな?」
「おー」
おーって翔飲むき満々だな…。俺も別に断る理由はないけど…。
「はいはい!それでは俺達の研修旅行にかんぱーい!!」
「何だそれ」
結局倉沢もうまいこと前田に言いくるめられ缶を持たされていた。
ごくごくと喉を通っていくほろ苦い感覚。
前田はぷはーっと口の周りに泡を付けている。
「苦っ…やっぱ俺無理。優木、これやるよ」
「義明は子供だな~」
「あほ…この味どうも慣れないんだよな~」
「俺これも飲むの?」
「うん、飲んでいいよ」
その後一缶飲んだあと倉沢の分も喉を通すのだった。
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