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心配性な彼と金髪男
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止めとけばよかったかなー、なんて今更思う。にしても毎回こいつはこういう機会があると本当悪酔いするからやめて欲しい。前に俺の家族と集まった時も大変だった。
「かーけるー、んー」
「はいはい」
俺の腕にくっ付いてる理央を軽くあしらう。本当こうなった理央は面倒臭い。普段の反動なんだろうか、いつも人に距離を置く理央が酔うとこうなってしまうのは。
腕に抱きつき若干の千鳥足の理央を支えながら歩くのは正直歩きづらい…。向かってる先は、まあ決まってるが神戸の所だ。この旅館も生徒会は1人一部屋らしい。どんな贅沢だよ…。何かあった時の為に、と教師と生徒会役員の部屋は教えられていたからよかったけど。
神戸の部屋に着くまでに誰かに見つかったら更に面倒な事になりそうだな…。宇野さんはともかく担任とか他のクラスの奴とか。
はぁ、とため息をつきながら神戸の部屋を目指す。
「お?なんや、理央とさっきのお兄さんやん」
「お、おう…」
ビビらせんなよ…。
通路を曲がるとそこで会ったのはさっき旅館に来た時に会った金髪の関西人高校生だった。理央が倒れたのを助けてくれたのもこいつだったよな、たしか。
「何してるん~て、理央どないしたん?」
「酔ってる」
「あらまー、そりゃ大変やな」
ふらっとしながらゆっくり顔を上げる理央。こいつの存在に気付いたみたいだ。
「ん~…誰ぇー、だ?」
「はは、ほんまに酔っとる。俺や、よーしーくーに」
「由邦だー、由邦ー」
「うわっ、と、理央大丈夫?」
俺の腕から離れこいつにもたれ掛かる理央。
「お前由邦って言うの?」
「おん、名前言うてませんでしたね!白木由邦言いますねん、よろしくお願いします~」
「あぁ、おれは井下翔。タメ口でいいよ別に」
「了解~、にしてもこれ大丈夫なん?」
「んー、大丈夫じゃねぇよな」
白木は自分の体に抱きついている理央の頭を優しく撫でながら苦笑いをする。
「理央もっと素っ気ないやんなー。酔うとべったりやな」
「んー、ふふ」
心地良さそうに白木に撫でられる理央。やはり普段との違いに白木もなんとなく気づいているようだった。こいつも本当は甘えたいんだなー、なんてふと思ったり。そういう所は素直に可愛げがあると思う。普段アレな分。うん。
「で、どないするん、この子」
「今、引き取ってくれそうな奴の所連れてくつもり」
「あー、そうなんや、ならええけど…ん?どないしたん理央」
白木が頭を撫でるのを辞めたからだろうか、理央は顔を上に向け白木の方をジッと見つめている。
「…なん、そんな上目遣いで見んでや。翔君これヤバイな、なかなかクるわ」
そういい口元を手で覆う白木。
「ここで変な気起こさないでくれよ」
「大丈夫やってー、なー、理央?」
「?」
当の本人はなんも分かっていないようで。
「理央ー、あんま悪酔いしたらあかんでー?」
「んー?…ん」
「あ、おい!お前…」
「鼻やって、鼻ー」
理央に目線を合わせたかと思えば鼻にキスをした白木。はぁ…。ったく。ケラケラ笑いながら優木を身体から離す。
「…あ、理央運ぶの手伝ってくれ」
「おん、ええけど」
「理央あんま力入ってないし、とっとと連れて来たい」
「はいよー、俺おんぶしよか?」
「大丈夫か?」
「任せときー、はは、これで理央運ぶの2回目やな」
「なんか悪りぃな…」
「ええって、てか理央浴衣なん?可愛えな~ほら、ちゃんと着な」
俺はスウェットにTシャツ、白木も似たような格好で理央だけ浴衣だった。何故か前田に無理矢理着せられていた。ずれた袷を直してやり白木がかがみ理央を背中に乗せてやろうとしていたが、
「これじゃ浴衣めくれるやん…ちゅーわけで、これでええか」
背中と膝裏に腕を通し抱え上げる、所謂お姫様だっこをしだした白木。
(これで神戸の所行くのなんか気が引けるわ……)
「……よし、行くか。助かるわ」
「ええよー」
また神戸の部屋に向けて歩き出した。
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