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ごめんは言わない
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俺の横に座った由邦が顔を覗き込む。
「なんだよ…」
「理央はさー、あれやろ?神戸さんとそういう仲なんやろ?」
「っ……」
これはイエスと答えるべきなのか。公に公開するつもりはなかった。したところで俺はいいけど浩志に迷惑がかかるのは俺は分かっている。けど、こいつは別に同じ学校でもなければ学年も住んでるとこも違うし、この旅行意外関わる義理がないとは思っている。
「まあ、否定しても俺はそうやと思っとるけど」
「………」
「俺ちょっかい出しとるんやない…言ったやん、理央が好きって」
「そ、うだけど…」
「あれやん、理央はもうこの旅行だけで今後俺とは会わん思っとるやろうけど…やからこそ俺は今言っとるんやで?」
何から何まで見透かされているようだった。真剣な眼差しで話す由邦には普段の軽い感じは全くなかった。
「理央始め見た時はそりゃ綺麗な奴やけどあんま愛想とか感心ないんやなとは思っとった。けど…一緒にデートしてくれた時も楽しいし居心地よかったんはほんまや」
「っ…由邦…」
ぎゅっと背中に手を回され抱き締められる。
背中から手のひらの暖かさを感じる。
「ほんまに好きなんや…正直帰りたない。…でも俺が帰らんでも理央達は嫌でも帰ってまう……」
抱きしめる腕の力が強くなった気がした。帰りたくない、そう話す由邦の声は僅かに震えていた。あんなにヘラヘラしてるくせに。なんだよ、すっげぇ弱いじゃん。
なんか俺もやるせなくなってしまった。
由邦の頭を撫でる事しかできなかった。
「何してんだよ」
「っ…?!」
「こ、浩志…!」
タイミング悪く現れたのは浩志だった。
何をしてるって、もう見たら分かるだろ…とも思いつつ。
「……なん、神戸さん」
「余計な事すんなっつったよな?」
「余計な事ちゃうわ、つーか何しようが俺の勝手やん」
「ふざけんな」
ぐいっと由邦の腕の中にいた俺を引っ張り自分の腕の中に収める。
「お前が別に理央をどう思おうが、何しようが俺のだよ、こいつは」
グッと腕に力が入り抱き締められる。
浩志の声に匂いに胸の奥が締め付けられた。
嫌じゃないんだよ別に、由邦の気持ちは嬉しい。真剣なのだって伝わった。それでも俺の心を満たしてくれるのは…。
「由邦…お前の気持ちは嬉しいよ。お前いい奴なのも分かるし」
「理央……」
「でもな、まー、お前の為にも言うけど。俺は、お前の気持ちには答えられない」
「………」
「俺はお前が好きだよ、それは友達として。でもこいつの事、神戸浩志は…恋愛感情として好きだから」
俺は由邦にそう伝えた。
由邦の眉間がグッと寄ってその後眉尻が下がりフッと笑った。
「さすがやな……謝らんかったりするとこが理央のええとこやな」
「…まーな」
「はー……なんかあっけないもんやなぁ。何で俺旅行先で失恋しとるんやろ」
手を頭の後ろに持って行きながら溜め息をつく由邦。
「人のもんに手出してもええことないっちゅー事がよーわかったわ」
立ち上がりそのまま何処かへ歩いて行く。
「おやすみー、理央、神戸さん」
去っていくその姿にほんの少しだけ、切なくなった。
「お前……隙見せ過ぎ」
「知らねぇよ…」
由邦と話してる間ずっと黙っててくれていた浩志が口を開く。
「俺の事恋愛感情として好きならもうちょい警戒しろよな?」
「う、うるせぇ!!」
ニヤニヤ笑いながら頭をガシガシされる。
「戻るから!」
「おー、夜更かし厳禁~」
熱くなった顔を見られぬよう足早に部屋に戻った。
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