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過去5___マイナス思考
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「隆……」
「探したよー、やっぱここに…って!え!?何でいんだよ桐島琳!!」
ゲッと言う顔をしながら俺の横にいる琳を見る隆。
「んー、まぁ、話してた」
「理央ちん…いつの間にそんな仲に…さすがと言うべきか…」
「何がだよ」
「いや、だって…桐島って……その、ヤクザの息子だって…」
「「はぁ?」」
琳と綺麗にハモってしまった。
「意味わかんねぇ…何で俺がヤクザの息子なの」
「え、違うの?!みんな言ってるぜ?桐島転校して来た日になんかすんげぇ高級そうな黒塗りの車を何台か引き連れてきてたって」
「あー……」
変な噂ばっか流れてんな。
俗に言う琳の家は金持ちでんでただ車で送って貰ったらしい。それも一台。ただそれだけなのに尾ひれがついてこんなんなって本人の所に話が伝わったわけだ。
「なんだ違うのか。焦るわー」
「俺が焦るわ」
「つーか、琳て帰国子女って事だよな?!?!すげぇな~」
こいつらもう打ち解けてんのかよ……。これは祐も混ざるのも時間の問題かもな。
それから琳は俺や隆たちと一緒にいる事が多くなった。俺たち3人が溜まってるところに琳がよく来るようになったからだった。
「琳…お前俺らといていいの?正確には俺と…だけど」
昼休み。今日は屋上に4人でいた。隆は祐を連れて昼飯を買いに行ってしまったため今は俺と琳の2人だけだった。
2人とも屋上を囲うフェンスに寄りかかる様にして座っていた。隆達がいない今だから聞いてみたい事でもあった。
琳は初めこそ変な誤解で皆から恐れられてたり好奇の目で見られたりしていたがそのうち変な噂も無くなり生まれ持った外見、喋りのうまさ、人柄によって皆今では琳を一目置いていた。そんな琳を羨ましいとも思えたし凄いと感心する事もあった。喧嘩だって普通にするし下手したら俺より強いかもしれない。
「何、そんな事思ってたの?」
「………」
俯く俺の頭に琳が手を置く。
「俺が居たいからここに居るだけだ」
変な罪悪感半分、嬉しさ半分。といったとこだ。素直に喜べないのは琳に気を使わせてしまったんじゃないか、と思うことが強かったから。
「お前さぁ……変なとこ神経質だよな」
「…っ」
不意に頭に乗っていた手に力が入り掴まれる。そのままグイッと顔を覗き込まれ目が合う。
琳の漆黒の瞳に今にも吸い込まれそうだった。
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