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過去6___キス
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ドクンッと心臓の音が体の中で響いた気がした。
時間にして見つめあっていた時間はほんの数秒だと思う。それでも俺は物凄く長く感じた。そしてそれは本当に一瞬の出来事だった。
「…っ」
口に感じた暖かい感触と鼻をかすめる甘くも苦い香り。
「理央は色々考え過ぎだな」
くしゃりと俺の頭を撫でる琳。一瞬何が起きたか分からず暫し固まっていた俺だったが、いざされた事を理解すれば早く、
「…っにすんだよ!!!」
「え?キス。嫌だった?」
「っ……!」
ここで何か言い返せばいいのに黙ってしまった俺は本当に馬鹿だ。こんなの嫌じゃないって答えてるも同然だった。
「あ、嫌じゃないんだ。じゃあもう一回する?」
「っ…しねぇよ!馬鹿か!!」
「はは!冗談だって…」
クスクス笑う琳を俺は真っ赤になりながら睨んだ。
本当に正直嫌じゃなかったのは確かだった。それは俺にもわかんないけど。今だって他校に付き合ってる奴がいたしキスだってそれ以上だってしてきた。でもそんなの俺には一連の行動であってどきどきするもくそもなかった。それなのに……今のは明らかに動揺していた自分がいた。
琳は何しても様になった。
クオーターだと言っていたけど顔立ちが少しはっきりしてるだけで髪の色や瞳の色は真っ黒だった。そんな所も俺は綺麗だなと思っていた。
「そんな顔で睨まれても怖くねぇ」
「うるせぇな…」
「かーわい」
「ふっざけんな!!」
「はははっ!」
可愛いなんてふざけやがって!!
耳元で話されたときにまたフワッと甘い香りがした。
少しすると隆達がきてお前らなにやってんの?ってアホみたいな顔して聞いてきた。その時ばかりは隆に感謝した。この現状と緊張に自分が居た堪れなかった。
琳は背も高いし体つきもしっかりしてるし大人びてるし同じ中学生には見えなかった。立ち振る舞いも言動全てがかっこよくて、俺は次第に憧れていった。煙草を教えてくれたのも琳だった。喧嘩するしか脳がなかった俺に良い悪いを教えてくれたのは琳だけど、そんなんで煙草はいいの?って聞いたらそれはそれだって言われたからなんだよそれ、って笑ってしまった。あの時の甘い匂いがキャスターだったんだなって少ししてから分かった。
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