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過去7___可愛い<かっこいい
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「何だよそれ」
「こないだのテストの結果…うぅ…」
昼休みの屋上。輪を作る様にして座っていた俺ら。パンを食べながら隆が一枚の紙切れを見つめていて、何かと問えばこないだの試験の結果らしい。あぁ、そんなんやったな…すっかり忘れてたわ。
「まじでやーばい…てか、なんで理央ちんは俺よりできてる訳?授業ほっとんど出てないのに…」
「知るかよ……」
「そんでさ……祐は平均より常に上だし琳は学年3位って逆に頭おかしいだろ……」
「なんでだよ」
「頭おかしいはねぇだろ」
勉強は好きではないし嫌いでもない。ただ、つまんないからいつも授業は出てない。
それにしても琳は凄い頭が良かった。琳はクラスが違うが琳のクラスでは1番の成績だった。顔も良ければ頭もいい。運動もできるし尚且つモテる。全てを兼ね備えたような男だ。
ズズズーッと残り少なくなった紙パックのカフェオレをすすりながらじーっと琳を見つめていた。
「なんだよ、理央」
「んー?いやー…なんか、かっこいいなーって」
「?」
「琳は何でもできるし」
「あー、…別に何でもってわけじゃ…」
「俺も琳みたくかっこよくなりたい…」
「かっこよくねぇ…」
ジト目で琳を見ていれば横から隆に抱きつかれる。
「理央ちんはー、今の可愛いままで十分だよ?」
「可愛いじゃねぇかよ!俺はかっこよくなりたいんだよ!」
わしゃわしゃと隆に頭を撫でられる。
俺のどこをどう見たら可愛いになんだよ…。
隆にされるがままになっていると隆とは反対側にいた琳に腕を掴まれそのまま隆の腕の中から引きずり出された。
「そーそー……今のままで十分だよお前は」
「お、おい…っ琳!」
肩をぐっと引き寄せられ琳の綺麗な顔が俺の顔に近付く。鼻を頬にすり寄せられ、耳元で囁かれてゾクっとする。いつも見たいに甘く、そして苦い香りがする。
「り、琳…」
「はぁ…」
隆が顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。祐は溜め息をはきながら呆れ顔だ。
「ちょ、琳離せって!」
「え?あぁ、ごめんごめん」
パッと離された肩に安堵の息が漏れる。隆はさすが…すげぇな!と何故か琳に感嘆の声を上げているし祐はモテる男はやる事が違う。あの優木理央までをも手玉に取れるのか、と訳の分からない事を言っている。
それでもやっぱり琳はやる事が一々かっこいい。でもそれは多分琳がやってるからで俺が真似したとこでなんの意味もなければかっこよくもないんだろうな、と思う。
「琳今度勉強教えてよー…」
「いいぜ」
隆が琳に泣きついている。
俺がかっこいいと言われる日は来るのか、そんな事を考えながら雲が何もない空をぼーっと見上げた。
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