アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
過去11___謝礼
-
不気味に電灯が灯ったり消えたりしている。
ガタンっと重い扉を開ければそこは金属や油、ジメジメとしたカビ臭い匂いが充満していた。今はもう使用されていない製鉄所の倉庫に足を踏み入れる。
「……」
薄暗く、しかし周りが見えないわけでもない。ジャリッと足元に砂が散らばっている。目的の人物がどこにいるのかと、周りを見渡しながら歩く。
「…!」
コツコツと自分のものでは無い足音が聞こえ思わず振り返れば、
「よー。ホントに来たじゃん」
(………1人?)
足音の主は木田だった。
てっきり複数人で来るかと思っていた為少し疑問に思う。
「来ないかと思ったわ」
「は?……」
絶対そんな事思っていない。俺が来ると確信していた、そんな顔だ。
「お前にやられてからさー、ずーっとお前の事どうにかしてやろうってさー、思ってたんだよねー」
「…知らねぇよ。つっかかってきたのはお前だろうが」
「まあまあ、そう言わないでさー。俺優木君にお礼したくって」
「?」
気持ち悪い喋り方でニヤニヤする木田。視線をフイッと斜め後ろに移すと辺りから複数の足跡が聞こえて来た。
「俺1人じゃお礼足りないと思ってさー、こいつらも一緒にね」
鉄パイプやらなんやら持った男達がザッと数えて7、8人は出てきた。
やっぱりか、なんて思ったから別に特には驚かなかったが改めて木田のクズさ加減に呆れた。
「そりゃ、どーも」
カランッとパイプの音がして一斉に殴りかかってくる。
腕で鉄パイプを受け止めながら右足で別の奴の腹を蹴る。蹴られた男は呻きながら後ずさる。鉄パイプを降ってきた男にはそのままパイプを掴み振り払う。
「ちっ…お前ら次行け!」
3人で来ようが5人で来ようが俺には一緒だった。次から次と襲ってくる男達を蹴っては殴っては。赤い雫がシャツにつく事もあった。
「はっ…、さすが優木理央、並大抵の事じゃ倒れねぇな」
ハハッと笑いながら汗を垂らして木田が笑う。周りには呻きながら倒れる男達。
「っ、はぁ…はぁ……礼は終わったかよ」
「ああ……」
素直に返事をした木田に些か疑問を感じながらも面倒な事を早く終わらせたくてその場を後にしようとした。
その時だった。
「っっ!!?」
頭に鈍痛が走る。
「おっと…まだ礼をしてない奴がいたみたいだ」
ニヤニヤと笑う木田の言葉にゆっくり振り返るとさっきまではいなかった別の男が立っていた。
物陰にでも隠れていたんだろうか。
力が抜けてガクッと崩れ落ち地面に膝が付く。
「ああ、そろそろ来る頃かな?」
木田が意味深な言葉を発した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
126 / 231