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過去13___自己嫌悪の雨
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「───…っつ」
次に気がついたのは見知らぬ車の中だった。ズキズキと痛みに目が覚める。
「あ?もう起きたの?」
さっき俺を担いでいた男が隣に、もう一人が車を運転していた。
「…おい、なんだよ…どこ連れてくつもりだよ」
「さあ?」
「は?」
「俺らはお前を連れてくように言われてただけだからな」
「降ろせ」
「それは無理なお願いだな」
運転してる男と隣にいる男はがはがはと下品に笑う。
あいつらは……祐と隆は今、
「降ろせよ、あいつらの所に行く」
「はぁ?馬鹿かよ。無理だっつってんだろ」
男は俺を睨み俺の頭を掴む。
そんなの構わずに俺も睨み返す。
「お前自分立場分かってんのかよ」
「うるせぇ」
腕だけが拘束されているため脚は動かせる。隣の男を蹴り上げ暴れる。
「っ!っ、てめぇ!このっ…」
「うっ…」
逆上した男は俺の髪を掴んだまま俺の頬を殴る。
「おい、落ち着けよ」
「あ?」
運転している男が俺を殴った男に話しかけるが男は俺は冷静さを欠いていた。
「調子のんなよ」
「っ……」
頬も腹も殴られる。ゴッと骨と骨が当たる音がする。口の中にじんわりと鉄の味が広がる。しばらく殴られ続けていた俺はまた意識が遠のいていった。
俺は、祐と隆の元に行かないといけないのに。何してんだよ俺は。
自由に動かない身体を憎むしかなかった。
「おい、どうするよ、こいつ」
「しょうがねえ、その辺置いてこうぜ」
男達は空き地の前に車を停め、俺を車から引きずり降ろしその場に放った。意識がはっきりとしない俺はそのままされるがままだった。
車のドアを閉める音が聞こえその後走り去る音が聞こえた。
ポツリポツリと周りに生えている植物の葉を濡らすように空から雨粒が降ってきた。
悔しくて悔しくて堪らない。
くそみてぇな奴にくそみてぇな事されてる俺は本当にくそ野郎だった。
「…ち、っくしょう…」
意識が遠のいてる筈なのに涙だけは目から溢れてきた。頭がぼーっとしてくる。そしてそのまま意識を手放した。
その後俺の元に人が近付いてる事に
……気づく訳はなかった。
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