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過去15___そして
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それから俺は翔から全てを聞き全てを話した。
呼び出された事、隆と祐が来た事、隆と祐を置いてきてしまった事、
琳が雨の中倒れていた俺を助けた事、その後木田の元へ言った事。
後日分かったのは隆と祐があの場に来たのはやっぱり木田の仕業だった。お前ら2人が来なかったら優木理央がどうなるか、みたいな事を言われたらしい。俺なんかどうでもいいのに…。それでも来てくれた事は嬉しい、でも木田は分かっていた。俺が1番苦しむのは隆や祐を傷つける事だと。
「理央ー、今日も行かねぇの?」
「おー……」
毎朝翔が俺の家に来る。
夏休みが終わった日から俺は学校に行かなくなった。今までもまともに言ってた記憶はないけど。
あの日から祐、隆そして琳とも連絡を絶った。
もう関わる権利は無いよ、俺には。
友達を置いてくなんて、俺の心が許さなかった。お前は行け、そう言ったのは祐と隆だけどそれでも俺は最低だと思った。何がなんでもあの場に戻らなければならないのに。
あれから暫く放心状態だった俺を翔は心配していた。余計な心配するな、そう言ったら、「は?お前の為じゃねぇ、俺がしたいからしてるんだ」って言われた。久しぶりの井下翔との懐かしい感覚で胸が熱くなった。意味もなく俺は「ごめん」と一言謝った。意味はなくないか。俺が翔と変な距離をとっていたことに対してだった。そしたら翔は「謝んのおせぇよ」って笑いながら言われた。
また前みたいに翔の近くで過ごすことが嬉しいと思えた。でもそれと同時にそばに大切な人がいるのが怖くもあった。
祐と隆と琳の3人には連絡をとる勇気は俺にはなかった。怖かった。もうあいつらに合わせる顔はない。
琳は俺に幻滅するだろうか。本当に俺を助けてくれたのだろうか。きっと面倒で翔に俺を預けたんだ。もう憧れの人に会う事すら俺はできない。
もう二度とあの3人とは会わないと決めた。
会わないじゃない、会えないんだ。
俺はもう。
頭の片隅にそっと、
触れないように、しまった。
秋頃、翔が俺に提案してきた。
「理央、高校行こう」
「…………は?」
何言ってんだよ、と素直に思った。
学校もまともに行ってない俺。そんなんが高校受験できる訳無い。
「俺はスポーツ推薦で行く。お前も同じ高校受けろ」
「無理だろ」
「無理じゃねーって。お前馬鹿じゃないんだ、まだなんとかなる。担任には俺からもなんとか言うから」
「なんで…そんな」
「ずっとこのままかよ。忘れるなら忘れる為に新しい生活してみるしかないんだよ」
「………」
「少しは俺に頼れよ」
翔が優しく、そう言った。
それからは俺も自分で担任に高校に行きたいと伝えた。担任には目を丸くして口を開けてぽかーんとしていた。それもそうだよな。
それからはちゃんと勉強した。翔が俺の為に動いてくれたんだ、俺はそれに応えたかった。
そして、翌年の春。俺は無事、翔と同じ高校に入学できた。
卒業式は出なかった。
祐、隆、琳がどうなったかは俺は知らない。
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