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「ふー……」
浩志と翔が家に来てから3日が経った。
一昨日から学校は行っていない。
ベッドの上に寝転びながらスマホの画面を眺める。左手には紙切れを握りながら。
番号を打っては消し、打っては消し、の繰り返し。あと一押し、発信の文字が押せないでいた。
「あー!もー……くそー…」
だってこの発信を押してかかったら出るんだよ、琳が。心の準備が3日経ってもできてない俺の意気地なし…。
ゴロゴロと寝返りを打ちながら溜め息を吐く。
もし、かかったらどうしたらいい。
久しぶり?
話したい事がある?
どうやって話しかけよう、どうやって話しかけてくる?
俺にとって2年という月日はあまりにも長過ぎた。さようならまた会いましょう、なんて穏便に別れたわけじゃない、俺が自分勝手に有耶無耶にして身を隠してしまったんだ。
それについこの間、一回会っている。そして俺はその場を逃げ出した。琳の前で俺は二回も逃げている。琳はよく思ってないに決まってる。そんな所に当の本人からの電話なんか受けたいか?俺だったら即切ってやりたい。
でも、琳はそんな事しない。分かってる。分かってるからこそ、かけるのを躊躇してしまうのだ。どうせなら切って欲しい。
11桁の番号が画面に表示されたままである。
どの道かける事になるんだから。もう3日も行動に起こしてない、そんな自分に嫌気が差す。ああ、もうどうにでもなれ。そんな気持ちで発信ボタンを押した。
「………」
何故か息を止めてしまう。グッと口を閉めながらスマホを耳に当てる。規則正しく呼び出し音が鳴り続ける中、俺の心臓はもうバクバクだった。いつ出る?出るなら早く出ろ!と。
プツリと一瞬呼び出し音が途切れる音がする。
「……」
<只今、電話に出る事ができません。ご用件のある方は…………>
はぁああ、と盛大に溜め息が漏れた。
と、同時に襲う安堵感。拍子抜けとは正にこの事。俺の緊張を返せ、と。
しかし、ホッとしたのもつかの間。今度は自分のスマホが鳴り出した。咄嗟にベッドから飛び起きる。
画面に映るのは見た事のある番号。それもそうだ、さっきまで何度も何度も打っていた番号なのだから。
恐る恐る通話の文字を押した。
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