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「………」
ああ、もうどうしよう。
さっきからそればかり考えている。
今日は久しぶりに学校行こうと思って制服を着たまではよかったが、中々足が進まず結局家の中で過ごした。約束の時間の30分前には駅前に着いてしまい、そこからそわそわしっぱなしだった。
「りーお」
「…え、わ、…り、琳!」
「驚き過ぎだから」
よー、と軽く挨拶をしながら現れた琳。俺はこの間の事もあり何かしら後ろめたかったりするが、琳の方はそうでもなく何事もなかったような雰囲気だ。俺的にはそれはそれで助かるから全然いいんだけどね。
「お前制服なの?学校行ったんだ」
「今日は行ってない…」
「何で制服なんだよ…。行かねえとダメだろ」
「……っ」
けたけたと楽しそうに笑いながら俺の頭に手を乗せくしゃりとされる。屈託のない笑顔が俺の胸を締めつけた。相変わらず綺麗に笑うな…。どんな姿も様になるんだよなー、琳は。
制服の俺に対し琳は私服だった。琳の隣に立つと自分が凄く幼くなる気がするのは今も昔も変わらなかった。
「どこで話そっか…」
とりあえず2人で歩き出すけど道行く人々やすれ違う女の子は振り返りながら琳を見る。無駄に劣等感が生まれてしまう程琳はかっこいい。久しぶりにこんな近くに琳がいる事が嬉しい気もするし恥ずかしい気もするし気まずい気もする。
道だって車道側を琳が歩いてるし歩幅だって俺に合わせてくれる。こういう事をスマートにこなせる所も相変わらずだし…つーか、俺は彼女かよ。
「スタバ入るか」
「おー」
適当な喫茶店を見つけて中に入る。
「……喫煙席じゃねぇの?」
「お?理央まだ吸ってんの?」
「え、琳は…」
確かに会ったときに琳の…キャスターの甘い匂いはしなかった。
「俺はもうしばらく吸ってないよ。つってもたまーに吸うかも」
「へー…」
「禁煙とかじゃなくてさー、なんとなくね」
意味分からないけど煙草を辞めた琳に寂しさを覚えた。
「いいよ、喫煙席行こう」
「いや、俺も…辞めようと思ってる、んだけど」
「本当かよー。お前の事だから中々辞めれないんだろ?」
そのまま喫煙席に連れられてしまった。
アイスコーヒーとフラペチーノがテーブルに置かれる。向かい合いながらソファの席に座る。言わずもがな俺がフラペチーノね。キャラメル。女子かよ。
ポケットに入っていた箱をテーブルに置けば琳は少し驚いた表情をする。
「理央…キャスターまだ吸ってたの?」
「あー…うん」
「へー、なんか俺嬉しいわ」
そんな嬉しそうに笑うなって…。
琳の言動一つ一つに心を揺さぶられてキャラメルの味なんてこれっぽっちも感じなかった。
(※本来喫煙席はありません)
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