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琳が煙草を灰皿に置く。
ジリジリと火が浸透している。
「俺はあの後……中学卒業してからまたイギリス行ったんだ」
伏し目がちに息を吐き出す。
「この先どうするかも考えてなかったし、とりあえずイギリス帰ったらなんか分かるかなってな。向こうの学校行ってたけど……分かった事なんてお前がいなきゃつまんないって事だけだった」
琳は優しく微笑みながら俺を見て、また煙草に手を戻す。
「この間はいきなり来てごめんな?結構最近日本帰って来たんだよ。帰って来て知ったけどお前もう前の家にはいないんだってな」
「……うん。今は1人暮らししてる」
「祐と隆……理央に会いたがってた」
どくん、と心臓が脈打つ。
「お前が自分で会っちゃいけない、とか思ってるか知らないけどあいつらは少なくともそんな事は思ってねぇよ」
今、知った。
俺は会う事よりも最低な事をしていたんだと。
祐と隆を信じてやれてなかったのか、と。
会いたい……会っていいんだ。
「とりあえず……お前にあえてよかったよ。理央に会うために俺はイギリスから帰ってきたんだから」
昔よく見たあの優しい笑顔をされた。
きゅーっと胸が締め付けられる。煙草を持ちながら話す姿は様になるし、格好良い…。あの時のいつもの琳が今俺の目の前にいるんだって思うと不思議な焦燥感に襲われた。
それと同時に不安もあった。琳は、俺に好意を抱いてる?それはどういう意味?友達として?どうしたらいいんだよ、俺は。
「理央?」
「んぇ?!っあ!」
考え事をしてたため琳に急に呼びかけられ驚いてしまった。手に持っていたフラペチーノが滑り落ち、そのまま俺の制服に落下した。
「あー…」
「最悪……」
「わり…」
「いやいや、琳のせいじゃなくて…俺の手が滑ったんだけど……これやばいよな」
ベッタリとキャラメルと生クリームがシャツについていてコーヒーがシャツに染み込んでいる。
「拭けばなんとかなるかな」
「それじゃやばいだろ」
そういうと琳は誰かに電話をし出した。
「後藤?あのさー……────」
俺が頭にハテナを浮かべている間にも通話は終了したみたいで、琳は電話を切ると立ち上がり外に出るように促した。
「え、ちょ、何だよ」
「今から俺の家行く」
「はぁ?」
「そんな服じゃ気持ちわりーだろ?つーか、制服シミ残る」
迎え呼んだからー、って………。
まじか。
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