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風邪
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軽快な音が響きエレベーターの扉が開く。若干耳がキーンとなったままだ。
「えーっと……部屋は…」
竹田さんにもらった紙に書いてある部屋番号を見ながら長い廊下を歩く。
ん、ここか。
コンシェルジュがいても一応カメラ付きインターホンもあるんだね…でも一応隠れとこー。
ピーンポーン…。
大丈夫かな…コンシェルジュが連絡とれたって事は起きてるって事だよな?
見舞いとか録にした事ないから変に緊張してきた。
どぎまぎしているとがちゃりと控えめにドアが開かれた。
「…………え?」
「よっす……」
「……………」
出てきたのはいつも着てる制服のイメージとは違ったダボっとした部屋着で出てきた浩志だった。別に……かっこいいとか…思って、ないから。
浩志は目を点にしながらしばらく黙っていたがその後無言で俺を部屋の中に招き入れた。
中はとてつもなく広くて…。
親は出張で先週から明日まで帰ってこないらしい。そんな時に風邪ひくとか大変だよな。
「え……どうした、理央」
リビングのソファに座りながらテレビをつける浩志。時折咳をする。やっぱ風邪か。
「いやー、さ。生徒会室いったらお前いなかったから……竹田さんが風邪だって…何で連絡くれないんだよ」
「理央に変な心配かけさせたくない」
「ばーか、変な心配じゃねーよ」
「はは…ありがとな……ビックリしたわ」
咳き込みながら笑った浩志の顔はほんのり赤かった。熱もあるんだろうか。
「つーか、寝ろよ……俺が起こしたのかもしんないけど」
「あ、おい」
「寝室どこ」
ソファに座ってる浩志の腕を掴んで寝室に案内させる。腕はあったかくてやっぱり熱があるんだなと思った。
「はい、寝た寝たー」
「うおっ……何、お見舞い?」
「んー、まー、そんなとこ?これ飲め」
「珍しい、気が利くじゃん」
「けーちゃんが買ってけって」
けーちゃんの名前を出せば少しムッとした顔をする浩志。
「買ってきたのは俺だし、見舞いに行こうと思ったのも俺の意志だから!」
「へー……ありがと」
おとなしくベッドに入る浩志。
不謹慎だけど…顔が若干赤くて息を乱している浩志が色っぽく見えてしまう。
「なんか食う?」
「さっき食べた……」
「ん。ならいっか……てか俺来てよかった?」
ぶっちゃけ浩志に会えただけで俺は満足だし、安静にしててもらいたいから寝かしとくのは当たり前だ。
「来てくれて俺は嬉しいけど?まさか、だしな。お前が来るなんて」
「ちょっとサプライズっぽくしてみたかっただけ」
「どーも」
笑いながらもやっぱり咳をしている姿は辛そうだった。
「大丈夫か?なんかあれば言えよ」
「…そうだな……一つ頼みたい事、あるんだけど」
「なに?」
「今日泊まってって」
「…え?」
「親いねぇし……やっぱこんな状態の時、誰かに……いて欲しい」
「わ、かった…」
いつもより弱々しく話す浩志のお願いを俺はすんなり受け入れた。
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