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挫折と豹変
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「気持ち悪りぃって言ったんだよ。兄貴に欲情するとか、頭おかしいんじゃねぇのか」
「おかしくないよ」
マコトはタクミの左耳のピアスを弄りながら続けた。
「俺はずっと兄さんが好きだった」
「それがキモいって言ってんだ!」
「なのに兄さんは俺を捨てた」
ピアスを掴む手に力が込められる。タクミは背筋を凍らせた。まさかマコトは、そのまま引きちぎろうなどと考えているのか。
「……止めろ」
「俺にはもう、兄さんしかいない」
「え…?」
タクミは思わず聞き返した。この優秀すぎる弟に、一体何があったのだろう。
マコトはもう片方の手でタクミの髪を撫でながら、口元を吊り上げて笑った。
「知らなかったの?兄さんが出て行った後、俺がどうなったのかをね」
「……」
「俺は家族に捨てられたんだ。…たった一度の失敗でね!!」
突然マコトが語気を荒げた。豹変した弟の姿についていけず、タクミはただ震えていた。
「ねぇ兄さん、大学受験ってそんなに大事?良い大学に入る事って、そんなに大事なの?答えろよ!!」
マコトはリング状のピアスを思い切り引っ張った。
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