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悪の天才科学者
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「アンパンマンが引きこもったあ?」
作業していた手を止めてゴーグルを外しながらそう聞き返すと、カレーパンマンはバナナを剥きながら「そう」とだけ言った。
そう。
「いやいや! アイツは正義の味方なんだろ? そんなやつが引きこもってていいのか!?」
「悪いことする誰かさんが全然現れないから基本的には問題なしってワケ。」
「俺様は今、新兵器の開発で忙しいんだ!」
アンパンマンを好きだと自覚してから、俺様は考えた。
このままだと、きっと何も出来ない。
何も出来ないまま、アンパンマンにまた良いようにされるのがオチだ。
そんなのはいただけない。
なんたって俺様は悪の天才科学者。
正義の味方を倒してこそなのだ。
だから、この新兵器でアイツをギタギタのメッタメタにしてやって、俺様の方が強いんだぞってことを証明してやるんだ。
そうすれば、少しはこの恥ずかしさも無くなるかもしれないし、それに、アンパンマンも少しは俺様のことを認めてくれるかもしれない。
「それにしても、」
「んあ?」
「なんでお前はここに居るんだ?」
アンパンマンが引きこもってるなら、パトロールをする役目はこいつや食パンマンに回ってくるはずだ。
それをこんなところで油売って、何してるんだこいつ。
「んー、敵情視察?」
「はあ!? 出ていけ!」
「うそうそ、じょーだんだって!」
慌てるカレーパンマンに、振り上げていたスパナを手元に戻して話を促す。
「んで? ホントのところどうして居るんだ?」
「さっきも言った通り、誰かさんが全然姿を見せないからどうしたもんかと思ってさ。アンパンマンがあの調子だったから、もしかしたら何かあったのかと思って来たってワケ。」
ふんふん、なるほど。
つまるところ、
「俺様のこと心配してきたのか。」
そう言うと、カレーパンマンはキョトンとした後にあ〜だとかう〜だとか言って、俺様に向き直った。
「実の所は心配半分、下心半分だ。」
「下心って?」
「アンパンマンをどうにかしてくれ。」
「はあ。」
引きこもってるアンパンマンを。
どうにかしてくれ。
「どうやって???」
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