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ずっと
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俺様がそう伝えると、アンパンマンは大きく目を見開いた。
言ってしまった。
そんなつもりじゃなかったのに。
だってコイツがあんまり可愛い顔をするもんだから、なんだか愛おしいような絆されたような気持ちになってしまって、ああ、言ってしまおうって、思っちゃったんだ。
どう拒絶されるだろうかとアンパンマンを窺うと、見開いた目はそのままに、ただひと言。
「嘘だ。」
「はぁ?」
「誰かに入れ知恵されたんでしょ、そう言えば僕が騙されて言うこと聞くって。」
「はぁあ!?」
心外にも程がある。
拒絶されるならまだしも、否定されるなんて。
俺様はここ最近ずっとお前のことで悩んでたってのに、ずっとお前のこと考えてたのに、それを知らないで否定してくるだと?
「さっきのキスだって―――」
「うるさい」
「うるさいじゃないよ、僕の気持ちもしらな―――」
「うるさいうるさいうるさーい!!!」
大声を出して言葉をかき消すと、アンパンマンは続きを言うのを諦めたようだった。
「見込み違いだったぞ、アンパンマン。俺様のライバルがこんな腰抜け野郎だなんて。」
「……」
「あまつさえ、勝手に俺様の気持ちまで決めつけやがって! 俺様はずっとお前ことを考えて生きてきたんだぞ! そりゃ、元々はライバルとして、憎むべき相手として見てたけど、でも、……っ」
そこまで言って言葉に詰まってしまった。
さっきは何故かすんなりと言えたが、今は状況が少し違う。改めて言うのが、少し恥ずかしい。
でも、ここで言わなかったら絶対に後悔する。
それだけはわかる。
どうにかして繋ぎ止めないと、俺様とコイツはもう会えないと思う。
そんなのは嫌だ。
「でも、今はお前のことが好きだ。ライバルとしても、正義の味方としても、1人の人間としても、お前のことが好きだ。」
アンパンマンの首に腕を回して抱きしめる。
聞こえなかった、なんて言わせないように耳元に口を寄せて言葉をすべらせる。
「俺様のこと、またお前の好きにしていいから、いじわるなままでもいいから、正義の味方辞めるなんて、言わないでくれ。」
そう言ってぎゅっと力を込めるが、アンパンマンは俺様の手を掴んで引き剥がしてくる。
抵抗しようとしたが、やっぱり力では敵わない。あっさり引き剥がされて、そのまま転がされてベッドに縫い止められる形になった。
今度はアンパンマンが俺様の耳に口を寄せてくる。
「本当に僕の好きにしていいの?」
「……おう。」
「いじわるでもいいの?」
「おう。」
砂糖菓子みたいに甘ったるい声で聞かれて、なんだか恥ずかしくなってぶっきらぼうに言い返してしまう。
でもアンパンマンは満足したのか、俺様の耳元でくふくふと笑っている。
よかった、多少は元気になったらしい。
そう思っていると、急に頬を鷲掴みにされて顔をのぞき込まれる。
そのアンパンマンの表情に、俺様は、
ああ、なにか間違ったのかもしれないな、と思った。
困ったように下がった眉に、酷く歪んで笑う口許、なにより、ギラギラとしつつも据わってしまった目が、コイツは大丈夫じゃないと告げてくる。
「ダメでしょ、冗談でもそんなこと言っちゃあ。」
そう言うと、アンパンマンは噛み付くようにキスをしてきた。
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