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金髪坊主のお兄さん。
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「おい」
「はっはいっ」
まさに蛇に睨まれた蛙。
ガッツリと重なった視線。
逃げられない。
きっと因縁つけられて校舎裏とか連れて行かれてボコボコにされるんだ。
その光景が想像出来てしまって泣きそうだ。
「大丈夫か?」
「ぇ、?・・・あ、はい」
しかし、降ってきた言葉は想像していたものとは違うもので。
呆気に取られているとその金髪坊主は俺の腕を掴んで立ち上がらせてくれる。
「気を付けろよ」
「ぁ、ありがとうございます」
とりあえずお礼を言うとその金髪坊主は俺の顔を凝視してきた。
何か顔に付いているのかと頬を擦ってみる。
というか何だかこの人知ってるような?
この顔どっかで・・・
一生懸命考えるけれども、
「お前、もしかしてリョウタか?」
「・・・え?」
とりあえず、思考停止。
「やっぱ、お前リョウタだよな」
「え、えっと・・」
何だ。何なんだ。
なんでこの人は俺のコト知ってるんだろう。
何だかわかんないけど、変な汗が背中を流れた。
どうしよう。
逃げるべきか。
無意識に後退る。
「稜太!」
突然背後から声がかけられて、思わず肩がビクリと揺れた。
「あ、れん・・・」
「いきなりどうしたんだよ」
「ご、ごめん」
振り返れば蓮がいて、その後ろからまこっちゃんとマコトも来ていた。
追いかけてきてくれたんだとわかった。
「あれ、兄貴?」
「え」
「何してんだ、こんなとこで」
「そっち行くとこだったんだよ」
俺の横に来て金髪坊主と話し始めるまこっちゃん。
え、今兄貴って言ったよね?
まこっちゃんと、さっきの金髪坊主を見上げるかたちで交互に見る。
あ、確かに似てる。
だから、見たことあるかもって思ったんだ。
でも良かった。
ぶつかったのがまこっちゃんのお兄さんで。
ホッと胸を撫で下ろしていれば、横から制服の袖を引かれる。
引かれた方を向けば、マコトが俺の荷物を押し付けて来た。
「オラ、忘れてんじゃねぇぞ」
「あ、ありがとう」
わざわざ持って来てくれたんだ。
素直にお礼を言えば、フンってマコトが鼻を鳴らす。
何だかんだ言っていい奴だよな。
しみじみと思っていれば、話しが終わったのか金髪坊主が去ろうとしていた。
「あっあの!お兄さん!!」
「ん?なに」
階段に向かう金髪坊主を呼び止める。
この人には、聞きたいことがあったんだ。
「あ、あの、何で俺のこと知ってるんですか」
「あー・・・。大丈夫大丈夫。そのうちわかっから」
「え、」
「じゃな」
聞けば金髪坊主は少し考えて、でもカラカラと笑って意味深な言葉を残してった。
何なんだろう。
まこっちゃんのお兄さんとは初対面のはずなのに。
「稜太、俺の兄貴知ってんの?」
「ううん、知らない」
不思議そうにまこっちゃんが首を傾げた。
だよね。
だって俺も不思議だもん。
何だか変な悩みが出来てしまった。
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