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なんでそんなこと言うの。
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「朝っぱらからにまにまにまにま、気持ち悪りぃぞ稜太」
登校早々、若干キレかけながら俺にガン飛ばしてくるのは、言わずもがなマコト。
「にまにまとかしてないし」
今日は食べ物詰め込んでないから、すぐさま反論。
いつもながら失礼なヤツだ。
「してる。まじで鬱陶しい」
「してないって!」
「してる!」
「してない!」
「まーまー二人とも落ち着けって」
顔付き合わせて言い合う俺たちを止めに入ったのは蓮。
お互いムーってなりながら、とりあえず口を閉じた。
でも睨み合いを続ける俺たちに蓮が溜め息をひとつつく。
と、タイミングがいいのか予鈴が鳴った。
「ほら、もうすぐHR始まるから」
蓮に促されて、自分の席に向かった。蓮は隣の席だからそのままついてきた。
マコトはまこっちゃんに連行されてる。
「稜太、昨日の話しなんだけど」
席についたら蓮がこっそりと耳打ちしてきた。
昨日?何だっけ?
とりあえず蓮の話しに耳を傾ける。
「イチヤって人のこと」
あ、知ってるかもって言ってたヤツ。
「思い出したの?!」
「稜太声でかい」
うるさかったらしく蓮が眉間に皺を寄せた。
「あ、ごめん」
蓮に合わせて声の音量を下げれば、蓮がまた話を続けて来た。
「ちょっと聞くけど、例のその人ってどんなヤツ?」
「え、金髪で、イケメンで、見た目は不良っぽいけどすごく優しくて、良い人だよ」
「・・・そっか」
俺の答えを聞いた蓮は難しい顔をして少し考えてから、俺の目を真っ直ぐ見てくる。
「な、なに?」
珍しく蓮が真面目な顔をするもんだから、妙な緊張感に無意識に喉が上下する。
「言いにくいんだけど、」
「・・・・」
「あんまそいつと関わらない方がいい、かも」
「・・・・は、」
「・・・・・」
「え、何それ、」
意味わかんないって蓮を見るけど、蓮は冗談を言ってる感じは全くなくて本当に意味がわからない。
何でそんなこと言うんだろう。
不良みたいだから?
でもイチヤさんのこと知らないのにそんなこと言って欲しくなかった。
しばらく、無言で向き合ったままお互い何も言わなかった。
でも先に口を開いたのは蓮。
「とりあえずそいつと関わるの、やめとけよ。な?」
「な、何で、」
何でそんなこと言うんだって言いたかったけど、本鈴とともに入ってきた先生に、それは叶わなかった。
意識が一瞬先生の方に向いて、すぐ蓮に戻したけどもう蓮はこっちを見てなかった。
なんでそんなこと言うんだよ。
聞きたいけど聞けない。
蓮が何を思ってそう言ったのかわからない。
色んな感情がぐるぐる回って、なんか泣きそうになった。
さっきまで幸せな気持ちでいっぱいだったのに、関わるなって言う蓮の言葉に一気に気持ちが沈んでしまった。
だって俺、イチヤさんのこと好きなのかもしれないんだよ。
そんなこと言ってほしくないよ。
頭に浮かんだのは優しく笑うイチヤさんだった。
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