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すごいんだな。
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昼休み。
昨日約束した通り壱也さんたちとお昼ご飯を食べようと、屋上への道のりを歩き出した俺なんだけれども。
もうすでに挫けそうになっていた。
壱也さんたちのいる屋上へは機械科のある北校舎から行かなければいけないんだけど。
やっぱり周りの視線が痛い。
っていうか怖い。
ほんと一人じゃなくて良かったと心の底から思った。
俺の一歩先を行くのは、言うまでもなくマコト。
(蓮とまこっちゃんはお留守番です)
やっぱりマコトは周りの刺さるような視線も気にせず、ズカズカと廊下を突き進んでいる。
ほんとにマコトって何者なんだろうと思わずにはいられない。
不良なんか怖くないという強者なのか。
もしくはただのバカか。
後者でありませんようにと、そんなことを考えつつ、マコトに遅れないように必死に後ろをついてった。
重い屋上の扉を開けば、目に映るのは昨日と違って少し淀んだ空。
それから。
やっぱりいらっしゃるいかにもな不良の方々。
飛んでくる鋭さの増した視線に、冗談抜きで寿命が縮まりそうで死にそうになっていた。
でもやっぱりマコトは先へと進んで行く。
ノミの心臓の俺には、マコトが勇者のように見えた。
「いらっしゃ〜い」
やっと辿り着いた先。
ピンク色の髪を風に靡かせて、銀司さんが緩く手を振っていた。
「しかしさぁ、よく稜太屋上来れたよね。怖くなかった?」
先輩方3人(雅宗さんは爆睡中)とマコトと俺と仲良くお弁当を食べているちょっと不思議な光景の中、ぽつりと銀司さんが零した。
「マコトが一緒だったんで、何とか」
あはは、と笑いつつ内心めっちゃ怖かったというのは言えない。
だってせっかく会えたのだ。
ちらりと隣に座る壱也さんを見れば、ぽんぽんと頭を撫でられた。
よく頑張りましたと言われているようで、嬉しかったりして。
「セイが一緒なら大丈夫だろ」
そう言ったのは俺の頭を撫でている壱也さんで、セイって誰?って首を傾げるとマコトのことだと教えてくれた。
マコト(誠)もまこっちゃん(亮)も読みが「まこと」でややこしいから、壱也さんはマコトのことはセイって呼んでて、まこっちゃんのことはリョウって呼んでるそうだ。
「でも何でマコトが一緒なら大丈夫なんですか?」
何で?とマコトに視線を送るけど、マコトは知らん顔でフェンスを背もたれにしてパンを齧ってる。
シカトをかますマコトにちょっとムッとしていると、フジさんが代わりにとばかりに口を開いた。
「まぁ、何つーか、コイツ肝の座った奴だし、護身術齧ってるから色んな意味で安心ってわけ」
「へえ〜」
護身術!これっぽっちも知らなかった。
フジさんはちらっとマコトを横目で見てそう言った。
マコトはマコトで、まぁそう言うことって言って、相変わらずパンを齧っている。
「マコトすごいんだなッ」
「ブッ」
友人の意外な一面に感心していれば、何故か銀司さんが吹き出した。
クックと笑いを堪えられないというように笑い出す銀司さんに、頭の中をクエスチョンマークが埋め尽くして行く。
「、ック、良かったなマコ、すごいってさっ、ブッ」
「何すか銀司さんッッ」
終にはゲラゲラと笑い出す銀司さんにマコトは顔を赤くして噛み付いてるけど、笑ってる銀司さんには全く届いていないらしい。
心なしかフジさんも肩が小刻みに揺れているような。
俺なんか変なこと言ったかなと、あわあわしてると、不意に壱也さんと目が合って、再び頭を撫でられた。
「なんで銀司さんあんなに笑ってるんですか」
「笑いのツボが浅いだけだから気にすんな」
そう言った壱也さんも、ちょっとおかしそうに口元を崩していたのを、俺は見逃してはいない。
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